レ点腫瘍学ノート

2020-10-19

治るってどういうことですか?看護学生と臨床医が一緒に考える医療の難問

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医学書院の新刊『「治る」ってどういうことですか?』を読んでみた感想です。同じく医学書院の『死にゆく患者(ひと)と、どう話すか』で有名な國頭英夫先生の新刊です。

「治る」ってどういうことですか? 看護学生と臨床医が一緒に考える医療の難問
医療の世界を志したものなら、一度は頭をよぎったあの悩み。そんな数々の現代医療の難問に真正面から向き合う医師と三人の学生たち。答えのない問いの前では、教える/教えられるの立場も関係ない。同じように頭をひねって考えなくてはならないのだ!医療とは、ケアとはなにか。その本質に近づこうと悩み考え抜く全4章。
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前作と同じように看護大学の学生「チカ」や「レイ」、それにときどき「ジュン」が登場して、教員役の國頭先生と現代の家をめぐるさまざまなテーマについて話し合いながら考えを巡らせます。テーマとして取り上げられている問題の多くは医療技術だけでなく倫理的・社会的な側面もはらんで答えの出ない未解決の問題であり、常々私たち医療者を悩ませる問題でもあります。

本当にここまで思慮深く難しい問題に真正面から取り組んでくれるような看護学生が実在するのかと言うことは前作を読んだときにも不思議に思ったことがあります。もしかするとこの看護学生はフィクションで、筆者が頭の中で思い描いている想像上の存在と対話しているのではないかと思ったこともありましたが、國頭先生を直接知る人に聞いたところ、どうやらそうでもないようです。

答えが無い問題の答えを探す過程を追体験できる

先生と看護学生が議論しながら(雑談しながらのようにも見えます)難問に取り組む様子から私たちが教えられることもたくさんあります。

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テーマは、例えばACP、あるいはAI、その他にも代替医療やバーンアウト、患者とのコミュニケーション臓器提供と脳死の扱い等を使われるテーマは幅広くいずれも答えの出ないような問題ばかりです。先日医学部入試の面接で聞かれた質問に関するツイートが話題になっていましたが、そこでも触れたような答えのない医療問題についていろいろ考えてみる思考実験をしてみる事は非常に興味深いものです。

実際に取り上げられている問題の議論の中身は本書を手に取ってご覧いただきたいと思いますが、会話形式で進められているので非常に読みやすく、実際に看護学校の教室で会話に参加しているような錯覚すら覚えます。

僕自身も看護学生に講義をしたことがありますが、どうしても知識を与えるような一方通行の講義になりがちでした。この先生のように双方向的な会話を通していろいろ思考をめぐらせるような授業をしてみたいと感じます。もっとも、そーゆー授業ができるようになるためには若い頃から長い時間を通していろいろな問題に悩み、苦労してみることが重要であるように思います。

「治る」ってどういうことですか? 看護学生と臨床医が一緒に考える医療の難問
医療の世界を志したものなら、一度は頭をよぎったあの悩み。そんな数々の現代医療の難問に真正面から向き合う医師と三人の学生たち。答えのない問いの前では、教える/教えられるの立場も関係ない。同じように頭をひねって考えなくてはならないのだ!医療とは、ケアとはなにか。その本質に近づこうと悩み考え抜く全4章。
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