レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2021年 / 7月1日

2021年6月ツイートまとめ

8dd36063e5.jpg

2021年6月の個人的な「いいね」ツイートのまとめです。とあるブログ(医療系ではない)で気に入ったツイートを1ヶ月分まとめて紹介していたので、それをまねして今月のツイートの中から自分が「いいね」を押していたツイートの一部を抜粋してここに挙げておきます。

2021年6月の第1週は ASCO 2021関連のツイートがぎっしりだったのでそちらのまとめをご覧ください。ASCO 2021終了以降で興味深かったツイートをまとめます。

ASCO2021が終幕しました。今年も色んな領域の新しい知見が発表されました。この1週間、TwitterにもたくさんのASCO関連のツイートが流れてきたので、印象深かったのをまとめておきます。Thank you to the oncology community (all 32,500 of you!) for joining us

Cancer Cellにも、がん治療中のコロナワクチン接種と抗体価の報告がでました。
やはり傾向は同じで、固形腫瘍では98%で抗体が得られましたが、血液腫瘍では85%と低い結果。
乳がんの話をすると、ホルモン療法は抗体価には影響なさそう。
大事な話だけど、これでCancer Cell🤔https://t.co/nzlKXCyIH2

— Mitsuo Terada@乳腺科医 (@MamMa_mimumemo) June 7, 2021

がん薬物治療中患者が新型コロナウイルスワクチン接種を受けたとして抗体獲得率がどの程度なのかという重要なクリニカルクエスチョンに対する一つの答え。固形がんの場合は、ほぼ一般的な健康人に対して実施された治験と同等の抗体獲得率があるようです。このようなリアルワールドでの根拠を得て、がん治療中の方にもワクチン接種を勧めやすくなります。

名古屋大から難治性妊娠性絨毛癌患者のNCCオンコパネルの症例報告https://t.co/Vaus0QHw0m
245個のSNVが同定され、平均SNV対立遺伝子頻度は63.1%
この高さは妊娠性絨毛がんのゲノムにパートナーのゲノムの一部が含まれていた
正常組織-腫瘍のペア解析は、GTN症例の治療方針の決定には適切でない

— RUT@ ヘルスケア × Dx × がんゲノム🧬 (@RUT_hhshark) June 8, 2021

妊娠性絨毛癌患者のNCCオンコパネルのデータに関する報告で、これは妊娠に伴いパートナーのゲノムが腫瘍組織の一部を形成しているとのこと。つまり腫瘍細胞の一部は宿主免疫細胞から見れば「他者」なわけで、免疫チェックポイント阻害剤の高い効果が期待できそうです。

「BRAF変異とRAS変異の排他性」問題と「EGFR変異はなんで肺がんばっかりなのか問題」のどっちが先に解決されるのかな。偉い人頼んだ。

— じなん (@MTCOSB) June 10, 2021

腫瘍細胞は変異を獲得するだけでなく、そのあと周囲の細胞からの選択圧を押しのけて自分の子孫細胞を増やす必要がありますが、前者はRASとRAFのいずれかに変異が入った時点ですでに腫瘍細胞としての高い能力を獲得しているので(つまりRASとRAFのどちらか片方の変異を持っている時点で腫瘍細胞を排除しようとする選択圧に勝てる増殖能力を獲得し)、その時点でダブル変異を持つ細胞がその腫瘍細胞内でシェアを伸ばすアドバンテージを失っているからダブル変異がないのは自然だと思いますが、肺癌のほうはなんででしょうね。。。

This is an important study which has several implications, including therapeutic ( PARP inhibitors) - for patients and prevention for family members! Congratulations to @ACTREC_TMC, @TataMemorial and other Indian colleagues!! @OncoAlert @ASCO_pubs https://t.co/JO5myPiH3j

— Jame Abraham (@jamecancerdoc) June 10, 2021

卵巣癌や乳癌ではBRCA変異を取りこぼさず拾い上げるということは非常に重要なテーマの一つになっていますが、このインドからの報告を見ると、組織型の悪性度、家族歴、発症年齢などでスクリーニングする方法は取りこぼしが多く、かなり問題があるかもしれません。

全トランスクリプトーム解析で、50歳の前後で腫瘍の生物学的な特徴に差はなし。議論が続く若年乳がん患者でのケモベネフィットについて、ケモによる卵巣機能抑制効果の可能性を支持するデータ。#乳がん #再発リスク予測 #乳癌 #MammaParint #BluePrint #agendia #Flex #マンマプリント #ASCO21 https://t.co/mTTEH3IIHk

— Yoshi M (@y_maemu) June 10, 2021

若年発症の乳癌は腫瘍生物学的に何か特殊な性質を持っているのではないかということはしばしば言われますが、このトランスクリプトーム解析を見ると年齢での腫瘍細胞の性格の違いはそこまでなさそうです。むしろ宿主側の因子としての体内のホルモン環境の違いが大きいか。

若年者へのOncotypeDXを前向きにみたコホート研究。
TAILORxではRS 11-25は、50歳未満で化学療法の上乗せありだった。今回の研究ではこの集団は上乗せなし。まことしやかに言われていた化学閉経の影響説も否定的。
TAILORxの方が信用たる試験デザインとはいえ議論は呼びそう。https://t.co/UwafNg3VQQ

— Mitsuo Terada@乳腺科医 (@MamMa_mimumemo) December 10, 2019

一方でこちらの報告を見ると若年乳癌患者で術後化学療法の恩恵が大きいのは化学閉経のためというわけでもなさそうであり、まだまだわからないことが多い。

In the ARROW trial of pralsetinib for RET fusion-positive NSCLC, the ORR was 61% in pretreated pts (CR rate 6%) & 70% in previously untreated pts (CR rate 11%); mPFS was 17.1 months. 5 of 9 pts with intracranial metastases had an intracranial response: https://t.co/kgvKZuriaX

— NatureRevClinOncol (@NatRevClinOncol) June 15, 2021

RET融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対するプラルセチニブ、ものすごい好成績のウォーターフォールプロットです。

尿路上皮癌におけるctDNAガイドのアジュバント免疫療法
/Naturehttps://t.co/dtMI2Ee2Pk

— RUT@ ヘルスケア × Dx × がんゲノム🧬 (@RUT_hhshark) June 19, 2021

In a phase III trial, pts with urothelial cancer who were ctDNA+ at the start of therapy (37%) had improved DFS (HR 0.58; P = 0.0024) & OS (HR 0.59) with adjuvant atezolizumab vs observation, whereas no difference was observed in the ctDNA- or ITT groups: https://t.co/ll5SpecfTm

— NatureRevClinOncol (@NatRevClinOncol) June 22, 2021

今後は術後化学療法も画一的ではなく患者ごとのバイオマーカーに応じてテーラーメードでなされることになる時代がきっとくると思っていますが、尿路上皮癌でこのような文献も。

MSK-IMPACTのリキッド版?MSK-ACCESSによる617例の報告
/Nature communicationshttps://t.co/69iNOb7R8l
MSK-IMPACTとの一致率は変異の59%

— RUT@ ヘルスケア × Dx × がんゲノム🧬 (@RUT_hhshark) June 21, 2021

リキッドバイオプシーといえばもっと大規模なこのような研究成果も発表されています。

Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy is an important issue for so many #cancersurvivors

Did you know the @ASCO_pubs guidelines for prevention and management of #CIPN were updated last year?
👀https://t.co/GNoqMrquTn #cancersurvivorship #survonc #supponc

— COSA Survivorship (@COSA_Surviv) June 21, 2021

化学療法による末梢神経障害に対するマネジメントのASCOガイドラインアップデート2021年版。

東大から肺多形性癌の包括的遺伝子プロファイリング
の報告
/npj precision oncologyhttps://t.co/Z7DpJYoVhD
・49例のNGS結果
・KRAS変異 (27%)
・EGFR(8%)
・HRAS(4%)
・NRAS(2%)
・RAF(2%)
・MET exon14 skipping(4%)
・EML4-ALK融合(2%)

— RUT@ ヘルスケア × Dx × がんゲノム🧬 (@RUT_hhshark) June 22, 2021

東大がん遺伝子パネルの報告。

20210628 Cancer Discovery
Breast International Group (BIG) の分子スクリーニング事業(AURORA)の報告。効果が期待される「matched therapy 」にアプローチできたのは7%。 https://t.co/idFEIgyzQ9

— じなん (@MTCOSB) June 28, 2021

乳癌のパネル検査スクリーニング事業AURORAの報告。

In a study in 417 pts, including 63 (15%) with pre-existing autoimmune diseases (ADs), 218 pts (53%) developed at least one irAE, with no association between the presence of baseline AD on the development, grade, or number of irAEs or irAEs outcomes: https://t.co/0XZkA4oERA

— NatureRevClinOncol (@NatRevClinOncol) June 23, 2021

自己免疫性疾患を有する患者に対する免疫チェックポイント阻害剤の治療を実施したときの安全性に関する報告。

Tx Implications of Germline Testing in Pts w/ Advanced Cancers [6/16/21] @StadlerZsofia et al JCO @ASCO_pubs https://t.co/TQOScVihTk #geneticcounselors #PrecisionMedicine n= ~12K, >50 CA, 8% = germline variant w/ Tx actionability w/ 40% receiving germline genotype–directed Tx

— Mike Thompson, MD, PhD, FASCO (@mtmdphd) June 18, 2021

これは自分用の「あとで読む」論文。

20210611 CCR
トラスツズマブとアンスラサイクリンの併用は心毒性を増強せずOS改善に寄与する?
乳がんクラスタに新たな火種?💣️ https://t.co/ITtQ77ddwT

— じなん (@MTCOSB) June 29, 2021

HER2陽性乳癌の術後治療ではアンスラタキサンとトラスツズマブがキードラッグですが、アンスラサイクリンとトラスツズマブは共に心毒性をきたしうるので経験的・慣習的には同時投与はせず順次投与をしています。でもこれって実はあまりエビデンスがないことで、本当はアンスラサイクリンとトラスツズマブは同時投与しても大した問題はないんではないかと思っています。果たして、最終的にはどういう結論になるのか。

In a study complementing PD-L1 IHC and TMB assessment with RNA-seq in 366 pts with mNSCLC, mUC or mRCC, multiple machine learning approaches failed to identify a baseline transcriptional signature highly predictive of ICI response across these indications: https://t.co/l9ioYEmWuW

— NatureRevClinOncol (@NatRevClinOncol) June 29, 2021

RNA secを用いたTMB評価とPD-L1の免疫染色などを複合的に機械学習的に評価して免疫チェックポイント阻害薬の有効性に関するバイオマーカーを探ろうとしたけれど、そう簡単にはいかない様子。ってか機械学習系の論文ってマテメソがわからないですよね…。

Neoadjuvant Trastuzumab Emtansine vs Trastuzumab, Pertuzumab, and Docetaxel in HER2-Positive Breast Cancer https://t.co/eH6H3uyWd4 #bcsm #oncology #cancer #immunotherapy

— The ASCO Post (@ASCOPost) June 29, 2021

早期乳癌でT-DM1がトラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセルに遜色ない成績を示したって結構大きなニュースだと思っていたのですがTLではあまり話題になっていませんね。早期乳癌に対してレジメンが進行乳癌のようなセッティングだったからでしょうか。

Pembrolizumab/Chemo Approved in Europe for Select Esophageal Cancer or HER2– GEJ Adenocarcinoma @ICM_Montpellier #esocsm https://t.co/25AfYhyD7B

— OncLive.com (@OncLive) June 29, 2021

食道がんのICIケモコンボも混沌としています。結局日本で使えるようになるのは一体どれなのか。

.@US_FDA Grants Breakthrough Therapy Designation to Adagrasib for KRAS G12C–Mutated NSCLC #lcsm https://t.co/VKJyock9Dj

— OncLive.com (@OncLive) June 25, 2021

KRAS G12Cに対するソトラシブがFDA承認を受けたばかりで日本ではまだ影も形も見えないのに、米国ではすでに次のKRAS G12C阻害剤が優先審査の候補に上がっています。

担癌患者に免疫チェックポイントPD1抗体投与下でファイザー・ビオンテックのCOVID-19 mRNAワクチン接種後サイトカン放出症候群を起こした症例分析がNature Medicine誌に掲載。
ステロイドでコントルールされ憂慮すべき状況ではないが、腫瘍専門医は心すべき有害事象だと思うhttps://t.co/eoM5ce4t6c

— BiotechMania (@BiotechMania) May 28, 2021

免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けている人でも概ね全員に新型コロナウイルスワクチンの接種を受けていただいていますが、極めて稀ではあるもののこういう事例も報告があるようです。かと言ってCOVID-19に罹患するリスクと天秤にかけるとワクチン接種を忌避するのは全く割りに合わないのでワクチン接種は原則として全員が受けるべきと考えてはいますが。

インパクトファクター2020のインフレは、計算方法が変わったことによるようだ。上がりの大きい雑誌ほど、オンラインの論文が引用されていることになるか。https://t.co/el6fwztwzF

— UB/Ultrabem (@ultrabemub) June 30, 2021

6月末に2021年のimpact factorが発表されました。impact factorは今年から、印刷版のジャーナルの発行日から2年以内という期限内の引用だけでなく電子版がパブリッシュされた日がその期間内であれば引用数にカウントできるルールに変わったらしく、多くのジャーナルでimpact factorが若干増加しているようです。

チョット何言ってるかよくわからないです pic.twitter.com/jFqP8w4yTq

— じなん (@MTCOSB) June 26, 2021

個人的にはアテゾリズマブの臨床試験命名法はペムブロリズマブやニボルマブのそれよりも理に適っていると評価していますけどね。

面白い調査!
オンコロジストの皆様いかがでしょうか
腫瘍内科医の実態把握調査
インテージヘルスケア マルチクライアント調査https://t.co/K9pVpDOm4i pic.twitter.com/TNRIogeizK

— RUT@ ヘルスケア × Dx × がんゲノム🧬 (@RUT_hhshark) June 28, 2021

腫瘍内科医の実態調査。絶滅危惧種で希少生物ではあるのだけど、そもそも別に世間からは大して必要ともされていないという、腫瘍内科医の悲哀が見え隠れします。われわれ、マイナーすぎませんか。

ほとんどが脱落ですからねぇ pic.twitter.com/eE141Of72M

— ざつ_4年目MSL_CROとMR経験者@柏の葉@わんこLOVE (@Hiroz20428) June 27, 2021

治療薬が開発に着手されてから治験を実施し成績を示して実際に承認されるまでにはこのような非常に複雑で困難極まりないプロセスがあるので、新型コロナウイルスに対して新しい治療薬の候補が出たときになぜ承認されないのかと息巻いている何も知らない人たちを見るとため息が出ます。

あ、あと「イブプロフェン」と「ロキソプロフェン」でPubMed検索した時の結果です。

ロキソプロフェンは結構"ガラパゴスな薬"だったりしますφ(..) pic.twitter.com/HDHp4QY8P5

— Fizz-DI@比較と使い分け-Yushi Kojima (@Fizz_DI) June 20, 2021

ロキソプロフェンってたしかに海外ではあまり名前を聞かないと思っていましたが、ここまでマイナーだったとは。まさにガラパゴス。

反ワクチンに不妊説が入り込んだきっかけは、ビンラディンをCIAが追いかけていたときに、B型肝炎ワクチンの接種をする医療団というのを工作員で作ったをのが原因かなと。陰謀論みたいだけど、本当にあった話です。https://t.co/jLxNdS7my4
これに対抗して、ムスリム側は不妊説を唱えたわけです

— ナカイサヤカ@ファイザー一回目接種 (@sayakatake) June 20, 2021

この話の真偽は確認できていませんが、いかにもありそうな話です。

激熱のウイルス用語史https://t.co/oqBvoTDQ9z https://t.co/qPXeupzmZ2

— たま🍄🐛 (@agrilus) June 28, 2021

新型コロナはウイルスなのかウィルスなのかから話が始まった、ウイルスという名前の命名の物語。

今日公開された医療広告の事例解説書(案)では、
・違反の多い事例
・周知が必要な事例
が分かりやすくまとめられています。

例えばこちらの図解は勘違いの多い事例です。知らないと損してしまいます。https://t.co/RJ2DcOKDfx pic.twitter.com/c76mPoXoEU

— ラボコート🥼小山貴芳 (@labcoat_jp) June 24, 2021

医療機関の広告には様々な規制がかかっていますが、医療広告ガイドライン違反になりそうな事例に注意。他山の石。

これはマジで重要なのであと5万回は言うと思うんですが、パワポに載せるグラフは一回全部モノクロにしてから目立たせたい部分だけをカラーにしてください。 pic.twitter.com/HpW1ujI74l

— トヨマネ|パワポ芸人 (@toyomane) June 20, 2021

PowerPointでグラフを作るときはこの配色にモノクロを混ぜるというポイントを覚えておきたい。たった一つの工夫でキリッと締まる。

分野にもよるけど、医学では10年以上前はだいたい古典だよね
古典だから間違いというわけではないけど

— iJohannes5430☢️ (@iJohannes5430) June 26, 2021

しかし10年経っても取り上げられる論文というのはそれだけ重要な論文でもあります。

アパパパの音楽聴く一番好きな環境って夜に思い立って下道でどっか行くかーって軽い睡眠道の駅ではさみながら46時間ぐらいかけて日本の端にふと出かけるようなそういう大学生時代のビーサンでウィルサイファで国道夜の海沿いカーブトラックのテールランプ頼りに走るあの時なんだよな

— apapapa (@rahsaanmkt) June 11, 2021

もう夏ですからね。こういうツイートもいいですね。


この記事に対するコメント

このページには、まだコメントはありません。

お名前:

更新日:2021-07-01 閲覧数:1663 views.