レ点腫瘍学ノート

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フジテレビで毎週木曜日にアライブというドラマが放送されています。医療ドラマは今までもたくさんあり、白い巨塔やコードブルーのようなドラマ史に名を残す名作もありますが、腫瘍内科という比較的新しい診療科を舞台にした作品はおそらく国内で初めてです。

そもそも腫瘍内科とは

そもそも日本では腫瘍内科という存在そのものにあまり馴染みがありません。皆さんが通院されている病院、ご自宅の近くにある病院の診療科一覧を見てみても、外科や産婦人科、消化器内科や循環器内科は存在しても、腫瘍内科という診療科がないところも少なくないのではないでしょうか。血液腫瘍内科という診療科はあるかもしれませんが、血液腫瘍内科はどちらかというと「血液内科」で、このドラマで扱われている腫瘍内科とは若干異なる仕事をしています。

腫瘍内科は抗がん剤(抗腫瘍薬)による治療を中心にがん診療の内科的な部分を担っている診療科ですが、腫瘍内科医というタイプの医師があまりにも少なすぎるために独立した腫瘍内科という診療科は都会の大きな病院にしかなく、多くの病院では外科や消化器内科、乳腺外科など臓器別に診療を行ってきた診療科が抗がん剤治療を含めたがん診療を行っています。海外では抗がん剤治療のほとんどを腫瘍内科が担っている国が多いので非常にメジャーな診療科ですが、日本ではまだ零細でマイナーな診療科の一つです。

とはいえ、近年の抗体医薬品などの創薬技術、がんゲノムや免疫学の著しい進歩によって抗がん剤・抗腫瘍薬による治療も複雑化してきており、一方で臓器別にがん治療を担っていた各診療科でも手術や内視鏡なども高度化し、それぞれの領域に特化した専門家の必要性が高まってきました。そういう時代の背景もあって、腫瘍内科という診療科を設ける病院は少しづつ増えています。

アライブ第1回感想

さて、アライブの感想を書こうと思ってから、バタバタするうちに1ヶ月半も経ってしまいました。旬を逃さないうちに、いま書けているところまでアップロードします。

腫瘍内科のお仕事

第1回をご覧になった方はお分かりいただけたと思いますが、このドラマの第1回放送は腫瘍内科とは何かということの紹介にかなり重点を置いているようです。それは当然です、なにしろ視聴者の大半は腫瘍内科が一体何をしているところなのか知らないのですから。。。

舞台は横浜みなと病院、松下奈緒が演じる恩田心先生(オンコロ先生)が主人公ということになっています。オンコロというのはもちろんoncology(腫瘍学)から取っていますね。

第1回では腫瘍内科と外科など他診療科との関係、抗がん剤治療の目的、アレルギーなど副作用が発生したときの対処を行なっている様子を描いて腫瘍内科の仕事を紹介しています。

実は日本医科大学武蔵小杉病院の勝俣範之先生がこのドラマの監修を担当されているようなのですが、この先生は書籍やTwitterなどのSNSでも腫瘍内科というがんの内科的治療の専門家の重要性を常日頃から説いておられる方なので、この脚本も勝俣範之先生の意向がかなり加わっているのではないかと感じます。また、日本臨床腫瘍学会(JSMO)の原発不明癌診療ガイドラインが登場したり、医学書院のがん診療レジデントマニュアルが登場したり、小道具も第一線で働いている腫瘍内科医が好みそうなものがふんだんに織り込まれていて、これも勝俣範之先生の意向でしょうか。

第1回では、オンコロ先生が重い病気を持つ患者の家族が思いを語り合う患者会に参加したことをきっかけに優秀な外科医である薫先生と出会うほか、ストーリー上重要な人物が登場します。やや「説明的なセリフ」が多い印象ですが、それは第2回以降にも共通するこのドラマの特徴です。。。

日記/20200220/アライブ感想/2 に続く


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更新日:2020-02-20 閲覧数:1432 views.