レ点腫瘍学ノート

古くて新しい薬/メトホルミン の履歴ソース(No.6)

#author("2020-09-20T10:14:27+09:00;2019-09-25T08:09:16+09:00","default:tgoto","tgoto")
メトホルミンと腫瘍の関連について集めるページです。

*メトホルミンと非小細胞肺癌 [#v2aad28c]

IIIB〜IV期のEGFR変異陽性の非小細胞肺癌患者に対して、ゲフィチニブ・エルロチニブ・アファチニブのいずれかとメトホルミンを併用するとPFSが有意に延長しました(9.9→13.1ヶ月、HR 0.60)。また副次的解析でOSも有意に延長した(17.5→31.7ヶ月)。メキシコのオープンラベル、ランダム化第2相試験です。

#ogp(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31486833,amp)

*メトホルミンと悪性リンパ腫 [#p9a8825c]

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と濾胞性リンパ腫(FL)に対して、メトホルミンの使用の有無で event free survival、lymphoma-specific survival、overall survivalに差があるかの検討を行った後方視的コホート研究では、それぞれ有意な差を認めませんでした。

#ogp(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31135975,amp)

(2020年9月20日追記)

*メトホルミンと前立腺癌 [#g5fb037c]

メトホルミンと前立腺癌の関係では、メトホルミン使用患者とそうでない患者で高リスク前立腺癌の生存に差がある可能性があることがpopulation-based後方視的解析で指摘されていました。

#ogp(https://www.ascopost.com/issues/april-25-2020/statins-with-or-without-metformin-are-associated-with-increased-survival-in-patients-with-high-risk-prostate-cancer/)

**MANSMED試験(ESMO2020でプレリミナリー)

#ref(https://oncologynote.com/img/bbd9beb08b-prostate1.jpg,nolink,MANSMED試験)

そして、ESMO2020では高リスク前立腺癌患者に対してメトホルミンの使用有無をランダム化して割り付けるMANSMED試験のプレリミナリーな結果が発表されました。これによると、抗アンドロゲン療法を受ける前立腺癌がありメトホルミンの投与を受けていない患者に対して標準治療に加えてメトホルミン850mgを投与する群と標準治療のみを行う群にわけてTTP(time to progression)などを比較しています。

その結果では、去勢抵抗性に至るまでの期間が標準治療群は20ヶ月だったのに対して標準治療+メトホルミンの群は29ヶ月であったとのことです。高度に転移を有する症例では効果が乏しく、局所進行例などで相対的にその恩恵が大きかったとのこと。まだimmatureな結果ですので、続報に期待です。

#ogp(https://www.urotoday.com/conference-highlights/esmo-2020/prostate-cancer/124506-repurposing-metformin-as-anticancer-drug-preliminary-results-of-randomized-controlled-trial-in-advanced-prostate-cancer-mansmed.html)