レ点腫瘍学ノート

大腸癌/CQ/HER2陽性大腸癌 の履歴差分(No.2)


#author("2018-01-31T07:47:55+09:00","default:tgoto","tgoto")
大腸癌の2〜5%にはHER2陽性大腸癌が見られ((Mod Pathol. 2015;28(11):1481-1491))、次の理由から有効な治療標的として期待されている((Andrea Sartore-Bianchi et al. JAMA Oncol 2017 ))。
+すでにHER2発現を評価する有用な診断キットおよび検査体制が確立されている。
+KRAS野生型大腸癌に限れば5%程度のHER2陽性大腸癌があると見積もられている。
+RAS野生型大腸癌であってもHER2陽性大腸癌ではEGFR抗体の治療効果が乏しく、他の治療が求められている。
+有効な治療効果のある薬剤がすでに複数実用化されている。

**HERACLES-A試験((Lancet Oncol. 2016;17(6):738-746.))

標準治療が無効となったKRAS exon2野生型HER2陽性切除不能大腸癌に対して、トラスツズマブ+ラパチニブ併用療法を実施する。
奏効率:30.3%、33人中2例はCRとなりトラスツズマブまたはラパチニブのどちらか1剤による維持療法に移行した。

** MyPathway試験 ((J Clin Oncol 2017;35 suppl 4 :676-676.))

34例に対してトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法を実施する。
奏効率38.2%
なお、HER2陽性であってもKRAS変異を有する大腸癌に対しては全例で抗HER2療法は無効であった。

なお、2018年1月時点で第3相前向き検証的試験は実施されていない。