レ点腫瘍学ノート

日記/2020年/05月27日/Papers2の思い出(2) の履歴ソース(No.1)

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>[[日記/2020年/05月27日/Papers2の思い出(1)]]から続く

*Papers3のリリースとバグ多すぎ問題

#amptwitter(380406210953891840)

しかし、Papers2の後継版として2013年末にDropboxでのクラウド同期やiPadなどのモバイル端末にネイティブ対応していることを謳ったPapers3が発売されてからは若干雲行きが怪しくなりました。

#amptwitter(380638961640554496)

**バグ多すぎ問題と対応の遅さへのファンの不満

発売直後のPapers3はバグが多すぎて、同期が途中で止まってしまう、Pubmedなどから文献情報を自動取得できないなどが相継ぎました。何よりもアプリが重すぎて、ユーザーコミュニティでは開発元のMekentosj社に対する文句がたくさん寄せられていました。

その後も少しづつバグ修正は進んでゆきましたが、満足できるレベルにはなかなかなりません。ユーザーコミュニティのBBSでのやりとりを見ると、どうやらMekentosjは個人オフィスとも言えるほど少人数で開発をしていたようです。バグ修正のアップデートも遅々として進まず、その間にMendeleyが人気を集めて巨大学術出版企業Elsevirの傘下に入ったり、それに対抗してか振興のクラウドベース文献管理アプリReadcubeがNature publishing groupに加わったりしていました。まさに16世紀に今川氏と武田氏に挟まれた徳川家のような状態だったわけです。知らんけど。

#ogp(https://macademic.org/2014/03/29/papers-3-still-disappointing/)

▲Papers3のバグの多さと修正の遅さに失望を隠せないファンの記事

**挽回のために講じる策も身を結ばず

Papers3も手をこまねいていたわけではなく、それまでMac版しかなかったPapersのWindows版を出したり、引用文献一覧を作るアドインはMicrosoft WordのほかにPagesやOmniOutlinerや、新しく登場した原稿執筆アプリManuscripts.appに対応させるなどの対策を進めていました。2015年9月からはiPhone/iPad版のPapers appを無償化して挽回を図ります。

https://twitter.com/m0370/status/927311051456004096?s=21

しかし、いかんせん開発が遅い。バグを修正すると言ってからそのバグが修正されるまで何ヶ月も、場合によっては1年もかかることもありました。結局、ユーザーコミュニティBBSではPapers3からPapers2に戻して様子を見るという声がかなり見られました。ぼくもその1人でした。

**Papers2が使用できないMac OSの登場

実はPapers3がリリースされてからもPapers2を使い続ける根強いファンが多かったことから、当初はPapers2はPapers3と併売を続けられていました。しかし、次第にPapers2は重要なバグ修正のみがリリースされるようになり、いつしかPapers2の開発は完全に止まってしまいました。そして、Mac OS XがSierraになったときに多くのPapers2ユーザーが非常に大きな衝撃を受けました。Papers2にはPDF内検索をするとその単語をイエローでハイライトしてくれる機能があるのですが、Sierraにアップデートしてからは検索すると表示が大きくズレたところにハイライトが表示されるようになってしまって、全くPDF内検索が使い物にならなくなってしまったのです。

これには多くのユーザーが困惑し、Papers公式サイトのサポートに多くの修正要望が出されたり、当時はまだTwitterをしていたPapers開発者([[Alexander Griekspoor @Mekentosj>https://twitter.com/mekentosj]])に直接交渉を試みる人もいました。当時のサポート窓口からの返事は「Papers3を使ってね」というものでした。この件で多くのユーザーがPapers2を離れたと記憶しています。

>[[日記/2020年/05月27日/Papers2の思い出(3)]]へ続く予定