レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/10月18日/EGFRエクソン20挿入変異に対する高用量オシメルチニブのメモ の履歴差分(No.6)


#author("2021-11-29T12:23:13+09:00;2021-10-18T15:29:52+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(非小細胞肺癌,EGFR,薬剤耐性);

#author("2021-10-19T08:21:18+09:00;2021-10-18T15:29:52+09:00","default:tgoto","tgoto")
非小細胞肺癌ではEGFR ex20ins(エクソン20挿入変異)は古典的EGFR-TKI(エルロチニブ・ゲフィチニブなど)への体制変異と考えられていて、またオシメルチニブも有効性が乏しいためEGFR変異肺癌の中で治療開発が遅れた領域として課題視されていたようです。

uncommonなEGFR変異に対するオシメルチニブの治療効果に関する研究は下記のJCOの2019年の報告がありますが、エントリー基準で定義されているように、エクソン20の挿入変異の症例は(ほぼ)含まれていません(Eligible patients were age 19 years or older, with a histologically confirmed diagnosis of meta- static or recurrent NSCLC harboring EGFR mutations other than exon 19 deletion, L858R, T790M, or exon 20 in- sertion.)。

#ogp(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31825714/)

* モボセルチニブやポジオチニブの話もありますが [#sd3187a4]

最近では、モボセルチニブ((JAMA oncol 2021 https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2784882))やポジオチニブ((J Clin Oncol 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34550757/))の開発が進んでいます(ポジオチニブはEGFR ex20insもERBB2 ex20insも標的にするようです)。またオシメルチニブが高容量では有効ではないかという話もあって、それを評価する臨床試験も進んでいるようです。モボセルチニブやポジオチニブの話はまた改めて書くとして、オシメルチニブについてのツイートがあったのでそちらをメモしておきます。

* EGFRエクソン20挿入変異に対する高用量オシメルチニブ [#b900f15c]

このたびLung cancer誌に掲載された国内第1/2相試験では14例に投与されたオシメルチニブ80mgの奏効率は0%だったようです。PFSは3.8ヶ月、OSは15.8ヶ月。

#ogp(https://www.lungcancerjournal.info/article/S0169-5002(21)00577-8/fulltext)

一方で、米国のECOG-ACRIN 5162のP2(ECOG-ACRIN 5162)では160mgに増量したところ、ある程度奏効してCRも出ているようです。

#ogp(https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2020.38.15_suppl.9513)

#tweet(https://twitter.com/tony_calles/status/1266649627769671680?s=21)

投与量が80mgと160mgと違いますが、これが奏効率の差なのでしょうか。あるいは、エクソン20の中でも挿入部位によって感受性に違いが出るのか(だとすればBRCAのように変異塩基でその機能ダメージやpathogenicityを分類するようになるのか)。。。

#navi(日記/2021年)