レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/10月20日/肝細胞癌への肝動注FOLFOX療法 の履歴の現在との差分(No.3)


#author("2021-10-20T08:17:01+09:00;2021-10-20T08:08:22+09:00","default:tgoto","tgoto")
#ref(https://oncologynote.com/img/8ff03e2fd0.jpg,nolink)
#author("2023-01-09T18:00:51+09:00;2021-10-20T08:08:22+09:00","","")
#ref(https://oncologynote.jp/img/8ff03e2fd0.jpg,nolink)

肝細胞癌に対する肝動注FOLFOX q3wと単発のエピルビシン+ロバプラチンTACEのRCTがJCOに掲載されています。

#ogp(https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.21.00608?journalCode=jco)

RCTとしては前者が継続的な化学療法であるのに対して後者はワンショットなので治療強度の差の面で比較が公平でない気がするのと、TACE群のRRが18%でOS 16ヶ月というのは悪すぎるような気がするので結果はそのまま日本の肝細胞癌診療に外装できないようにも思いますが、それでも肝癌へのTACEやHAICはランダム化が極めてしにくいという手技の特性からほとんどRCTがなかったのに対して、このような性格もスケジュールも違う治療法の比較試験を組めたのは素直に感嘆します。

レンバ→TACE→レンバチニブのシーケンシャルを検討した日本のLEN-TACEの治療成績は奏効率が50%を超えていたようです(ただしリピオドールの入りで奏効と判定してるようなので一般的な奏効判定よりは甘めの判定の可能性はあります)。まだ論文として見つけることができないので暫定的なデータかもしれませんが。日本の肝細胞癌診療の場合は初回のTACEからのOSも1年半しかないってことは無いでしょうから、この辺は日本の肝癌と海外の肝癌の違いでしょうか。

#ogp(https://cancer.qlife.jp/news/article10583.html)

エントリー基準は最大径が7cm以下で肝外病変や脈管浸潤が無いものですから、日本で最近よく使われるTACEの適応基準の一つであるup-to-seven inよりやや緩めのエントリー基準でしょうか。つまり病巣数が非常に多い両葉多発タイプの症例が多めにエントリーされているかも知れず、その場合はよりTACEよりもFOLFOX HAICに有利な患者選択となっていたかもしれません。

#ogpi(https://oncologynote.com/?164b97be90)
#ogpi(https://oncologynote.jp/?164b97be90)

&tag(肝細胞癌);
#navi(日記/2021年)
#pcomment