レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/10月25日/胃癌・食道癌の一次治療に対するケモコンボ承認間近 の履歴の現在との差分(No.4)


#author("2021-11-29T12:17:31+09:00;2021-10-25T07:50:52+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(胃癌,食道癌,ケモコンボ,CHECKMATE649,ATTRACTION4,KEYNOTE590,CHECKMATE577);
#author("2024-03-25T08:22:52+09:00;2021-10-25T07:50:52+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(胃癌,食道癌,レジメン);

胃癌および食道癌では一次治療での免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用に関するエビデンスが揃ってきています。昨年のESMOはこのICI+化学療法の話題で大盛り上がりでした。ICI単剤ではKEYNOTE-062試験などがやや不満の残る結果であったことからICIが一次治療で使われる状況は長らくありませんでしたが、ここに来てケモコンボが多数登場したおかげでかなり様相が変わってきました。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1309123215780974605?s=20)

FDAではかなり早くから承認されていましたが本邦では今のところまだ保険適用でこれらの併用はされずにおり、承認を今か今かと待っておりましたが、数日前にTwitterにこんなツイートがありました。

#tweet(https://twitter.com/mixonlinejp/status/1451143550649786370?s=21)

食道扁平上皮癌におけるペムブロリズマブとCDDP+5FUの併用療法はKEYNOTE-590試験に準拠、胃癌・食道癌のニボルマブとFOLFOX/CAPOXの併用療法はCHECKMATE-649試験に、あるいはアジア限定のニボルマブとSOXとの併用療法はATTRACTION-4試験(ONO-4538-37試験)に準拠しています。

なお、よく似た試験でCHECKMATE-648試験があり、こちらは食道扁平上皮癌限定でのニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブを比較しています([[参考サイト>https://ascopost.com/issues/june-25-2021/checkmate-648-first-line-nivolumab-regimens-improve-survival-in-esophageal-squamous-cell-carcinoma/]])。

#ogp(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202010/567530.html)
#ogp(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202010/567544_2.html)

*各試験の文献 [#i365767b]
各試験の文献URLはこちらです。

**KEYNOTE-590(食道癌一次治療 ペムブロリズマブ+CDDP+5FU) [#qf346f0f]

#ogp(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01234-4/fulltext)

**CHECKMATE-649(胃癌・食道腺癌一次治療 ニボルマブ+FOLFOX/CAPOX) [#ya18ed4a]

#ogp(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00797-2/fulltext)

CHECKMATE-649試験は、対象は当初TPS+でしたが、途中からCPS≧5に変更されました。CHECKMATE-032と061からCPSが良いpredicterと判断されたためのようです。

**ATTRACTION-4中間解析(アジア限定胃癌・食道扁平上皮癌一次治療 ニボルマブ+SOX/CAPOX) [#b5fcb566]

ATTRACTION-4は今のところまだ中間解析しかpublishされていないようです。学会レポートは[[こちら>https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202010/567544_2.html]]が参考になります・

#ogp(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0923753419310361?via%3Dihub)

それぞれの試験の比較もされています。

#tweet(https://twitter.com/Yoh_tw/status/1363806515547676682?s=20)

*バイオマーカーでは [#w0f1e4de]

胃癌はNCCNのガイドラインではCPSが5以上かどうかで層別化されているようです。CHECKMATE-649試験の結果を反映してのことですが、CHECKMATE-649試験では副次的評価項目とは言えCPS<5でもOSは伸びていたはずなのです。一方でアジア限定で実施されたATTRACTION-4ではPFSが有意に延長したのに対して、全CPSでのOSは有意水準には到達しませんでした。ATTRACTION-4はアジアでの治療実施でしたが、アジアは後治療の実施率が高く、特に後治療でニボルマブを使われている割合がかなり高かったようです。日本ではCPSでの治療分けが保険承認の条件化されるかどうかが気になるところです。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1364535689916739591?s=20)

またMSI-Hに限定するとCHECKMATE-649のOSはHRが0.3台と圧倒的な差をつけた成績になり、大腸癌と同じように胃癌でも早期からMSI-Hステータスを評価することが正当化されるかも知れません。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1330270781297872906)

まもなく胃がんと食道癌で一次治療から免疫チェックポイント阻害薬と化学療法をすることが可能になりそうです。あとはPD-L1のCPSでの制限がつくのかどうか、食道癌では扁平上皮癌や腺癌といった組織型での縛りがつくのかどうかという点は気になりますが。何れにせよ早速レジメン申請が必要になりそうです。胃癌ガイドラインが改訂されたばかりなのにまた根本から大きく書き変わってしまいました。これからまた忙しくなりますね…。

#navi(日記/2021年)
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