レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/11月16日/HER2陽性大腸癌のトラスツズマ+ペルツズマブのTRIUMPH試験 の履歴差分(No.3)


#author("2021-11-29T12:18:26+09:00;2021-11-16T23:18:26+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(大腸癌,HER2,リキッドバイオプシー,抄読会);

#author("2021-11-16T23:18:26+09:00","default:tgoto","tgoto")
SCRUM-Japan GI-SCREENとGOZILA研究から続く国立がん研究センター東病院吉野先生たちが中心になっている多岐にわたるバイオマーカーと分子標的治療に関する研究のうち、HER2陽性大腸癌のトラスツズマ+ペルツズマブの第2相TRIUMPH試験の結果がNature MedicineにBrief Communicationとして掲載されたようです。すごい!

#ogp(https://www.nature.com/articles/s41591-021-01553-w)

もちろん大腸癌に対する抗HER2療法そのものも(トラスツズマブデルクステカンのDESTINY CRC01試験やトラスツズマブ+ペルツズマブのMyPathway試験などをはじめとして)世界中で色々と研究をされているのですが、この研究はそれらと比べて圧倒的に「新しい」点はctDNAでHER2を測った点でしょうねえ。もしこれが十分に確立されたら、大腸癌にとどまることなく乳癌や胃癌など抗HER2療法全体の地図を塗り替えてしまう可能性がありますので。

それにしても、この研究に限らずSCRUM-Japan GI-SCREENから出てくる研究の勢いはどれも目を見張るものがあり、講演会などを聞いていても本当にワクワクします。日本のがん研究は一時期かなり欧米などに差を付けられてしまったと思っていましたが、最近の数年はむしろ領域によっては差を少し縮めたところもあると思います。そして、リキッドバイオプシーによる個別化治療はその代表的なジャンルになれそうな勢いを感じます。

#navi(日記/2021年)