レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/11月20日/令和4年診療報酬改訂に向けたがんゲノム医療関連の提案 の履歴の現在との差分(No.3)


#author("2021-11-29T12:12:29+09:00;2021-11-20T17:37:50+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(診療報酬,がんゲノム,遺伝子パネル検査);
#author("2023-01-09T18:00:51+09:00;2021-11-20T17:37:50+09:00","","")
#ref(https://oncologynote.jp/img/d0496ce212.jpg,令和3年診療報酬改訂に向けたがんゲノム医療関連の提案)

#ref(https://oncologynote.com/img/d0496ce212.jpg,令和3年診療報酬改訂に向けたがんゲノム医療関連の提案)

令和4年度診療報酬改定に向けてがん遺伝子パネル検査の診療報酬の点数算定条件の変更に関する要望が日本臨床腫瘍学会から出されていたようです。[[@RUT_hhshark>https://twitter.com/RUT_hhshark]]さんがTwitter上で紹介してくれていました。

現在のがん遺伝子パネル検査の診療報酬点数の算定要件はかなり現場の運用にとって厳しい設定がなされている点が多く、これについては元遺伝子パネル検査が2019年6月に保険診療で実施可能となった時点から各方面から問題視すると言うコメントがなされていました。

第一には、特に全体で56,000点のうち検査提出時には8000点しか算定することができないという制約が病院にかなり大きな診療報酬上のリスクを強いている状況になっている点です。 56,000点のうち8000点を検査提出時に算定するとして、残りの48,000点は約2ヶ月後の結果説明時に診療報酬算定できると言うことになっていますが、一方で支出側の検査費用はおよそ460,000円ほどを検査提出時に検査会社に支払っています。 結果説明までの2カ月間に病院は検査費用の大部分を持ち出しで過ごす必要があるほか、万が一何らかの理由(急な病状悪化)で2ヶ月後の結果説明時の診療報酬算定ができなかった場合には検査費用の大部分が病院にとっての損失となります。さらにDPC出来高算定ともなっていないので、結果説明時に入院していたり緩和ケア病棟に入っていたりする可能性も病院にとって大きな保険算定上のリスクとなります。

第二には、 コンパニオン診断検査として使用した場合に算定できる診療報酬点数は8000点から2万点程度と非常に低く設定されている点です。がん遺伝子パネル検査はコンパニオン診断検査として実施することも可能ですが、検査費用460,000円が経費としてかかるために2万点ではとてもペイせず、この目的で検査を実施することは事実上不可能になっています。 

これを、がんゲノムプロファイリング検査として検査提出示に48,000点算定できるようにし、さらにエキスパートパネルを開催した場合には8,000点を追加算定するということにすれば、病院の持ち出し分をかなり小さくすることができるほかコンパニオン検査目的の実施もかなり現実的となり、普及が大きく進みます。

もともとこの点数設定は妥当か(高すぎるのではないか)という問題もあるのですが、それとは別でこの算定条件に関する制約が現場に本来業務とは関係ない負担を強いているので、ぜひとも是正されて欲しいと思います。

>48,000点:検査費用をカバーするとともにコンパニオン診断機能を使っても病院の持ち出しにならない費用を請求可能とする

#tweet(https://twitter.com/RUT_hhshark/status/1461860609679572994)

そのほかに、DPC出来高とすることで入院中に検査実施できるようにするという提案もなされています。特に小児がんでは入院が長期化することがしばしばあるため、この重要性が高まりそうです。

>がんゲノムプロファイリング検査を「DPC等における出来高評価の対象検査」とすることで、本来対象となるべき小児がん患者に対し、適切な時期に検査を実施することが可能となる

#tweet(https://twitter.com/RUT_hhshark/status/1461860120053182466?s=20)

また肺癌領域ではオンコマインを提出すると検査不成功時にEGFR検査ができないという問題がありましたが、それを可能にする提案もなされているようです。

#tweet(https://twitter.com/RUT_hhshark/status/1461859070952939524?s=20)

これらの要望のうちどの程度が実現されるかわかりませんが、それぞれいずれも現在のがんゲノム医療の普及を大きく阻害しているだけに、改善されることを願うばかりですね。

#navi(日記/2021年)
#pcomment