レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/11月3日/STK11やKEAP1はKRAS変異陽性のときのみICI抵抗性に関与する の履歴の現在との差分(No.3)


#author("2021-11-29T12:21:21+09:00;2021-11-03T12:32:40+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(非小細胞肺癌,がんゲノム,STK11,KEAP11,KRAS,薬剤耐性,抄読会);

#author("2022-12-01T00:43:12+09:00;2021-11-03T12:32:40+09:00","default:tgoto","tgoto")
非小細胞肺癌でSTK11やKEAP1は免疫チェックポイント阻害剤に耐性を生む変異と言われていたけど、それはKRAS変異の時のみで言えることで、KRAS WT非小細胞肺癌ではSTK11やKEAP1はICI耐性に関連しないようです。米国の主要がん拠点病院のリアルワールドデータの文献です。

#ogp(https://www.jto.org/article/S1556-0864(21)03284-6/pdf)

これによると、STK11やKEAP1の変異があり免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けたKRAS変異陽性非小細胞肺癌患者ではPFSもOSもHR 2程度と予後が悪い(つまり無増悪生存期間も全生存期間も半分程度になる)というデータがある一方で、このような予後悪化はKRAS野生型非小細胞肺癌では見られなかったとのことです。

これって結構新しい話なのかと思って、過去にSTK11と免疫チェックポイント阻害剤の有効性に関する報告がどのようになっていたのかを辿ってみました。すると、そもそも2018年にSTK11がICI耐性だとか言い始めた頃にすでに「KRAS変異陽性肺癌では」ということになっていたようですね。今回のはそれを再確認しただけの話だったのか…

#ogp(https://cancerdiscovery.aacrjournals.org/content/8/7/822)

別の報告でも、Fig2を見ると症例数が少ないのですがやはり2018年の時点でSTK11とKRASがダブルで変異を起こしている症例は確かに免疫チェックポイント阻害剤が効いてないようです。ただし、少数例散見されるKRAS野生型症例もSTK11があってもICIが効いているというわけでもないように見えますが…。

#ogp(https://www.cell.com/cancer-cell/fulltext/S1535-6108(18)30123-5)

#navi(日記/2021年)
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