レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/11月30日/HER2 exon20 insertionのポジオチニブ の履歴の現在との差分(No.3)


#author("2021-12-01T06:33:44+09:00;2021-11-30T23:46:35+09:00","default:tgoto","tgoto")
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&tag(非小細胞肺癌,HER2ex20,ポジオチニブ);

Journal of Clinical Oncologyに既治療のERBB2(HER2) exon20 insertionを持つ非小細胞肺癌に対するポジオチニブの結果が掲載されていました。ZENITH20試験のコホート2の結果になります。

#ogp(https://ascopubs.org/doi/pdf/10.1200/JCO.21.01323)

ERBB2(HER2)のexon20 insertionは希少変異なのかと思いきや、この報告の背景を見ると非小細胞肺癌の2〜5%に見られるとあり、しかもそれが既存の標的治療には抵抗性であるということもあって今後の治療開発が期待される重要な領域の一つと見なされているようです。ポジオチニブはその中で期待される新薬の1つと言うことになります。

具体的にどのような変異のタイプがあったかをみてみます。ERBB2(HER2)のexon20変異で検出されていた変異の種類を見ると、大部分が ''Y772_A755dupYVMA'' または ''G776delinsVC'' で、この2つだけで大部分を占めています。他には ''G778_P780dupGSP'' や ''V777_G778insV'' が見られていました。主要評価項目の奏効率が27.8%で病勢制御率も70%とかなりの好成績で、またフォレストプロットを見ても前治療がかなり濃厚にされた治療歴がある症例でも治療効果が保たれているようです。中枢神経系への遠隔転移が見られた症例でも同様に良好な効果が見られました。

なお、このポジオチニブのZENITH20試験は7つのコホートからなる試験だそうです。全て非小細胞肺癌でEGFRまたはERBB2(HER2)のexon20のinsertionを対象にしています。EGFR T790Mはexon20の範囲にあるようですがこれは除外基準に該当します。試験デザインについては詳しくは下記のリンクにて解説されています。

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- ''コホート1'':EGFRで既治療例 →ポジオチニブ16mg/day
- ''コホート2'':HER2で既治療例 →ポジオチニブ16mg/day
- ''コホート3'':EGFRで初回治療 →ポジオチニブ16mg/day
- ''コホート4'':HER2で初回治療 →ポジオチニブ8mg/day
- ''コホート5'':EGFRまたはHER2(180例) →16mg/dayと6mg×2回/dayと8mg×2回/dayをランダム化
- ''コホート6'':EGFRでオシメルチニブ不応後(30例) →8mg×2回/day
- ''コホート7'':EGFR・HER2希少変異(30例) →8mg×2回/day

#ogp(https://www.cancertreatmentreviews.com/article/S0305-7372(20)30143-2/fulltext)

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