レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/11月4日/免疫チェックポイント阻害剤とPPIの関係(追加) の履歴差分(No.3)


#author("2021-11-05T08:01:54+09:00;2021-11-04T23:00:54+09:00","default:tgoto","tgoto")
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&tag(免疫チェックポイント阻害剤,PPI,薬剤耐性);

またしてもICIに PPIは有害伝説が1つ…。

IMpower150試験(非小細胞肺癌でCBDCA+PTXにatezo,bev,atezo+bevのいずれか)の事後解析でPPIと免疫チェックポイント阻害剤の好ましからぬ関連を示唆する報告がまたひとつ増えました。このBr J cancerの報告によると、肺癌のCBDCA+PTXに上乗せするアテゾリズマブの有効性を評価したとき、PPIを使っている人はOS HR 1.53、PFS HR 1.34と生命予後が悪い傾向が見られたようです。

#ogp(https://www.nature.com/articles/s41416-021-01606-4)

この手の論文では「PPIを使っている人は他に消化器疾患があったり、抗血栓薬を服用しなければならない心疾患があったり、そういう併存症の交絡因子があるのでは?」という反論がなされがちです。しかしIMpower150試験はCBDCA+PTXにアテゾリズマブではなくベバシズマブを上乗せする群もあり、この群ではPPIによりOSやPFSが悪化する様子は見られなかったようです。これを考えると、PPIで予後が悪化するという現象は免疫チェックポイント阻害剤に特有の現象と言えそうです。

1年ほど前にはこういう記事も書いていました。

#ogpi(https://oncologynote.com/?8c7efd371a)

こちらの報告もアテゾリズマブ。どれも再現性を持ってPPI投与患者はICIの治療予後が悪いが細胞障害性化学療法では予後に差がないという結果で一貫していて、PPIが腫瘍免疫環境に何らかの影響を与えているのは間違いなさそうです。

#ogp(https://clincancerres.aacrjournals.org/content/26/20/5487.abstract)

それにしても、PPIと免疫チェックポイント阻害剤の関連の研究が報告されてるのはIMvigor210試験、IMvigor211試験、あるいはPOPLAR試験といずれもアテゾリズマブ関係が多いのはなんでしょうね。。。

#navi(日記/2021年)