レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/12月25日/原発不明癌に対してニボルマブ承認 の履歴差分(No.5)


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#tweet(https://twitter.com/MTCOSB/status/1474301184429400065?s=20)

原発不明癌に対してニボルマブが承認されました。これは以前から承認申請が出ていたのものですが、CBDCA+PTX療法後の二次治療のみとして承認されるのではないかという予想に反して、一次治療からも使用可能な条件で使用可能な条件設定になっているようです。

#ogpi(https://oncologynote.com/?df66f4bda9)
#ogpi(https://oncologynote.com/?16323d219a)

* 一次治療ではPFSは短い [#fdeda034]

NivoCUP試験では奏効率は22.2%、OSは15.9ヶ月と報告されていました。なお、PFSは一次治療として実施された患者では二次治療として実施された患者と比べて12.4→3.7ヶ月と非常に短くなっていたようです。本来は同じ治療の場合は一次治療として実施した方がPFSが長くなるのが一般的ですが本試験の結果は逆に一次治療で実施した患者で極めてPFSが短いという通常とは逆のパターンになっています。

#ref(https://oncologynote.com/img/89914c481e.png,nolink,原発不明癌に対するニボルマブの一次治療と二次治療でのPFSの差)

これについては様々な理由が考えられますが、一つは一次治療として実施した患者の症例数が極めて少なかったこと(n=10)、また原発不明癌はもともと進行が急速だったり診断確定時には病勢がかなり進んでいて全身状態が悪い患者が少なくないため二次治療まで化学療法を受けられた患者は原発不明癌患者全体の中でも比較的進行が緩徐で全身状態が良好な症例がセレクションされていることなどが考えられます。

とはいえ、どちらの群でもそれなりに縮小例がありCR例も出ているのは励みになりますね。

また病変部位別では予後が大きく変わる傾向は無さそうですが、TPX/CPSが高い症例では予後が良い傾向があるのは他の癌腫と変わりないようです。

いずれにせよ、原発不明癌は分子標的薬の対象ともなりにくく治療選択肢が乏しい領域だっただけに、今回の承認はかなり現場にとってありがたいものとなりそうです。

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