レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/12月8日/TMB-highとは言い切れない中程度の群の免疫チェックポイント阻害剤 の履歴の現在との差分(No.1)


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&tag(TMB-high,免疫チェックポイント阻害剤,アテゾリズマブ);

TMB-high固形がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の有効性に関しては、ペムブロリズマブのKEYNOTE-158試験の付随研究の結果をもとにして、TMB 10mut/Mb以上の場合にペムブロリズマブの有効性があるのではないかと期待されています。FDAではTMB-high固形がんに対して免疫チェックポイント阻害剤が承認されているようです。

しかし、これまでのデータはほとんどがKEYNOTE-158試験に基づいているので、他の患者層でどうなのか、ペムブロリズマブ以外の免疫チェックポイント阻害剤でどうなのか、構成する癌腫が違う場合はどうなのかという点も気になります。一言でいうと、TMB-high固形がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の有効性は再現性があるのかどうかということが、もう少し検証されるべきではないかという疑問も感じます。

再現性の裏取りをするというためにも他の臨床試験のデータがないかを待ち望んでいましたが、大型バスケット試験であるMyPathway試験のTMB-highコホートのデータが出てきました。

* TMB-high固形がんに対するアテゾリズマブの有用性 [#y10e7cae]

臓器横断的MyPathway試験のTMB-H群アテゾリズマブ投与成績の臨床試験の結果が発表されています。組織検体を使ったFoundationOne CDxのTMB score≧16の変異量が多い層ではORR 38.1%とKEYNOTE-158のMSI-Hの治療成績に負け劣らない程度の水準の成績を発揮し、かなり良好な手応えでした。

しかし、それよりももう少し変異量が少ない中程度変異量(10≦TMB score<16)の層では一転して、ORRはたった2.1%と明らかに成績が下がってしまいます。n数が少ないのでこのデータだけで多くを語ることは難しいのですが、しかし今回の結果を見るとやはりTMBが非常に多い群に比べてTMB 10mut/Mb付近となると、免疫チェックポイント阻害剤の切れ味はかなり鈍ってしまうようですね…。

これやっぱりKEYNOTE-158の結果だけでTMBのカットオフ値を10と言うのは十分の再現性が取れてコンセンサスが得られた標準治療と言い切るのは無理があるような気もしてきますが、いかがでしょうか。。。

#ogp(https://cancerdiscovery.aacrjournals.org/content/early/2021/12/07/2159-8290.CD-21-0450)

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