レ点腫瘍学ノート

日記/2021年/3月30日/ハイブリッド学会は人がいない の履歴差分(No.7)


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* ハイブリッド学会は人がいない [#e693be81]

コロナ禍も2年目となるとみんなオンラインでの講演会や学術集会にすっかり慣れてしまって、今や学会会場に足を運ばない方が普通になってしまいました。完全web開催方式の学会も増えていますが、一部には会場でのリアル参加もできるハイブリッド形式の学術集会も開催されています。今週後半に差し迫っている日本乳癌学会も、オンラインとパシフィコ横浜の現地でのハイブリッド開催です。

* ハイブリッド開催は現地に行く人が圧倒的に少ない [#r1e6934c]

これは当然の自明のことなのですが、よほど会場に近いところにすんでいる人でない限りはオンラインでも見ることができる学会講演を聞くために現地会場まで行くのは時間的にも体力的にも費用的にも負担が大きくなります。そうなると、ほとんどの人はオンラインで参加することになり、現地まで行く人はほとんどいません。

そうすると現地はどうなるか。当然、ガラガラになります。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1319818116650528768?s=21)

これは2020年秋の日本癌治療学会の様子。JSMO(日本臨床腫瘍学会)は腫瘍内科などがん薬物療法をメインに扱う学会なのでスポンサー企業は多いものの参加者層は地味な印象がありますが、癌治療学会は外科系・放射線治療系なども含めた癌治療関連のさまざまな領域の方々が参加されるのでJSMOなどに比べて普段であれば派手・目立つ展示が多い印象です。しかし2020年秋は第2次緊急事態宣言と第3次緊急事態宣言のちょうど間。県境をまたぐ移動を控えるように呼びかけられていたこともあり、やはり学会会場に直接足を運ぶ参加者はごくわずかでした。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1319825775835500544?s=21)

*日本で最も参加者数が多い日本循環器学会でも [#e8d4bbbe]

#tweet(https://twitter.com/hirofumiseo/status/1375408559198851077?s=21)

パシフィコ横浜の循環器学会学術集会、公称は25,000人参加だったそうですがもっとも人が多いノーベル賞受賞の山中伸弥先生と本庶佑先生の講演ですら200人程度しか人がいなかったようで、やはりハイブリッド開催形式にすると現地に赴く人はかなり減ってしまうようです。

#tweet(https://twitter.com/hirofumiseo/status/1375409247152840708?s=21)

これは企業ブースに出展している企業にとってはかなりツライですね。書籍販売をしている医学系出版社にとってもほとんど売上が期待できないので、全国規模の学術集会での現物見本展示での即売という一台ビジネスチャンスを逃すことになってしまいます。ぼく個人としては学会学術集会で医学書専門出版社が寄り集まって今年の新刊を並べるのは学会出張の大きなメリットの一つだと思っているので、それがなくなってしまうのは非常に悲しい。

*企業出展にとっては冬の時代に [#v363a81c]

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1375444127089795073?s=21)

オンライン学会で企業ブースをどうやって出すかというのは非常に難しい問題で、実物を触ってみて営業できることに意味があるのですがオンラインではそれができない。製品の写真や動画を見るだけなら、そのメーカーのwebサイトを訪問するのと変わりがなくて、わざわざ高い出展料を支払う意味がありません。

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1375449056802050048?s=21)

YouTubeでは実際に子ども向けの玩具にせよテレビゲームにせよ、それを販売するのではなく、有名なユーチューバーがそれを開封して遊んでみたり使っている様子を実況するという番組がたくさんあります。JSMO2021の企業協賛セミナーでは新薬など製薬企業のほかにゲノム解析機器の会社が新しい解析機器を使って研究している現場に密着しその様子を視聴者に見せるタイプのweb講演もありました。実際の製品そのものを売り込むのではなく、その製品をネームバリューある誰かに使ってもらって、その様子を見せるというものです。これはオンライン学会時代の新しい企業展示のやり方かもしれません。

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