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これまでモノクローナル抗体薬は〜マブという命名法に従って命名されていましたが、この命名法が変更されるようです。モノクローナル抗体薬の一般名の語尾は、-tug、-bart、-mig、-mentの4つに分かれるようです。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02732-X/fulltext
!ogp(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2821%2902732-X/fulltext)
https://cdn.who.int/media/docs/default-source/international-nonproprietary-names-(inn)/new_mab_-nomenclature-_2021.pdf
## ツグ(-tug)
ツグ(tug)はもっと一般的な全長構造を持つモノクローナル抗体です。**u**nmodified immuno**g**lobulinsでug。重鎖と軽鎖があり、Fcフラグメント(テイル、幹の部分)は糖鎖修飾などは受けていても遺伝子改変を受けておらず、抗体のクラスとしてはIgG, IgA, IgM, IgD, IgEの全てを含むようです。既存のマブと命名されているモノクローナル抗体は多くがこのツグのグループに入ると思われます。
## バルト(-bart)
バルト(bart)はantibody **art**ificial、つまり人工的に遺伝子改変を受けているものです。遺伝子改変の内容は多岐に渡り、ヒンジ、新しい糖鎖付着部位、自然界には存在しない混合対立遺伝子変異、補体結合の変化、FcRn結合の変化、Fc-γ受容体結合の変化などが例として挙げられています。
## ミグ(-mig)
3番目のミグ(mig)は複合抗体です。bi-specificやmulti-specificなど複数の抗原を認識する部位を持っている製剤(BsMab)です。既にあるものとしては、CD19とCD3の両方に結合し急性リンパ性白血病に対して開発されたブリナツモマブやEGFR/ERBB2 exon20挿入変異を有する非小細胞肺癌などで開発されているEGFRとMETに対するアミバンタマブなどがあります。
## メント(-ment)
メント(ment)は抗体構造の一部のみを製剤化したもので、F(ab)部つまり腕のだけのものや、もっと小さく軽鎖のうちの抗体認識部scFvだけのもの、VH断片のみのものなどがあります。既存の薬剤で言えばラニビズマブやセルトリズマブがこれに該当します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2828581/
!ogp(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2828581/)
おそらくこれまでのモノクローナル抗体の大部分が一つ目のツグのグループに入るので、マブを廃止してツグに改めずにバルト・ミグ・メントを分離するだけで良かったような気もしなくもありませんが、今後新たに登場してくる薬剤はマブが付かないものが多くなってくるようです。
!navi(日記/2022年)
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