レ点腫瘍学ノート

日記/2022年/2月15日/KRAS G12C大腸癌の現状 の履歴差分(No.1)


#author("2022-02-15T07:59:51+09:00;1970-01-01T18:00:00+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(大腸癌,KRAS G12C);

非小細胞肺癌では一定の成果を示して承認された(薬価は2022/2時点で未収載)ソトラシブは、大腸癌では治療開発が苦戦しているようです。KRAS G12C変異陽性大腸癌に対するソトラシブ単剤での治療開発は断念され、今は多剤併用での臨床試験や次世代のKRAS G12C阻害剤であるアダグラシブの開発も進んでいるようです。

現状でわかっているKRAS G12C変異陽性大腸癌に関する情報をまとめておきます。

* ソトラシブ [#h99fe597]

ソトラシブはKRAS G12Cに対して初めて実用化された薬剤で、undruggable RASと言われていた領域に切り込んだことで数多くの特集が組まれたりしました。

#ogp(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28643779/)

非小細胞肺癌ではすでにCodeBreaK100試験肺癌コホートで奏効率37%、病勢制御率81%という好成績を示してFDAおよび本邦で承認されています(本邦は2022/2時点で薬事承認はされたが薬価未収載)。STK11やKEAP1、TP53など免疫チェックポイント阻害剤が効きにくかったり他の分子標的治療薬が苦手としそうなコホートでも一定の有効性を示したようです。

#ogp(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2103695)

一方で大腸癌ではパッとしません。CodeBreaK100試験大腸癌コホートでは二次治療において62例に投与してPR 6例でORR 9%ってのはちょっと寂しい成績。単剤での治療開発は断念されたようです。ソトラシブに更に他剤を併用するCodeBreaK101試験が進行中です。

#ogp(https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(21)00605-7/fulltext)

* アダグラシブ(MRTX849) [#g8b0fd85]

アダグラシブはソトラシブに次ぐ次世代のKRAS  G12C阻害剤です。こちらはソトラシブと違って単剤でも一定の有用性を示しているようですが、やはりセツキシマブとの併用が必要との意見もあるようです。試験途中のデータですが、単剤で奏効率22%、セツキシマブとの併用で奏効率39%との話((https://pharma.insights4.jp/archives/147467))があります。

非小細胞肺癌などでアダグラシブ+ペムブロリズマブ併用療法などのKRYSTAL-7試験((https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03785249))も進行中です。

** KRYSTAL-1試験(第1/2相) [#l7221c37]

#ogp(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03785249)

#tweet(https://twitter.com/benwestphalen/status/1439590980169175043?s=21)
#tweet(https://twitter.com/pashtoonkasi/status/1484545756799197186?s=21)

** アダグラシブの耐性メカニズム [#u8942f6c]

NEJMにアダグラシブの耐性メカニズムに関する文献があります。
こういう基礎研究味がある論文がNEJMに載るのは珍しいですね。

#ogp(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2105281)

#navi(日記/2022年)