レ点腫瘍学ノート

日記/2022年/3月5日/エキスパートパネルを省略できる要件は現実的か問題 の履歴差分(No.2)


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エキスパートパネルを省略するための要件が発表されました。

情報のソースは下記の2つのようですが、今のところまだインターネットには公開されていないようです。

+ 健が発0303第1号厚生労働省健康局がん・疾病対策課長通知
「エキスパートパネルの実施要件について」
+ 健が発0303第1号厚生労働省健康局がん・疾病対策課事務連絡
「エキスパートパネルの実施要件の詳細について」

*背景因子 [#d2dc7ffb]

これまで、がん遺伝子パネル検査の結果を解釈するために、がんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院で各種の専門家がリアルタイムで集まって実施される専門家会議(エキスパートパネル)は、数多くのスタッフの時間と手間を要するため、がんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療連携病院の大きな負担となっていました。エキスパートパネルを行う前の情報収集や病歴サマリーの作成は必要な作業ではありますが、がん遺伝子パネル検査を実施したすべての症例の治療方針などを全員が集合して検討するには症例数が増えすぎて、効率が悪くなってしまっていたのです。

エキスパートパネルを行うための負担が大きくなると、毎週こなせる症例数に限りが出てきてしまい、エキスパートのために何週間のために何週間も待たなければならないという事態も発生します。組織検体ではなくリキッドバイオプシーでのがん遺伝子パネル検査が行えるようになると、検査そのもののTAT(検査を提出してから結果レポートが返却されるまでの時間)が数日短くなるとのことでしたが、そこで数日を短縮できてもエキスパートパネルを行うのに何週間も待つようだと意味がありません。エキスパートパネルを行うこと自体が、円滑ながんゲノム医療を阻害するという皮肉な結果を生んでいました。

そこで、エキスパートパネルを保険算定の必須要件から外そうという要望が出てきていたのです。

* 今回の改訂内容 [#a40f7c91]

https://twitter.com/m0370/status/1499566309369348097

「遺伝子変異検出なし、エビデンスレベルAとRのみ、MSI-Hのみ、TMB-Hのみ」の場合はネットで事前協議だけして意義なければリアルタイム形式のエキパネ省略可能になるようです。

エキパネ参加者がファイル共有サービスなどで事前に持ち回り協議し、遺伝子変異がない場合やエビデンスが確立されて出席者の見解不一致が無い場合はリアルタイムのエキパネは省略し、事前検討のみでエキパネを開催したものとするようです。事前検討で見解不一致がある場合はリアルタイムエキパネを必須とも書かれています。

* この制度が始まることによる利点 [#q9237910]

** 検査結果説明までのスピードアップ [#fe5b0cfd]

いまFMIレポートとC-CATレポートが来てからエキパネ待ちがすごく長いのですが、今後はエキスパートパネルを待たずともC-CAT結果が来たらクラウドでサマリを共有し、早ければ数日以内に結論を出せる。同意取得から結果説明が3週間くらいで行えるようになるのでは?