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#author("2022-07-23T19:27:09+09:00;1970-01-01T18:00:00+09:00","default:tgoto","tgoto")
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&tag(膵癌,ガイドライン);
膵癌診療ガイドライン2022年版、2019と比べて BRCAオラパリブが入るくらいであまり変わらんのじゃないの?と思ってたら、予想に反してかなりガラリと変わってるな。
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* 委員会の区分 [#e3d82923]
従来の診断・外科・補助療法・放射線・化学療法・ステント・緩和に加えて「プレシジョン・患者市民」という区分が新設されている。
本文も至るところに「患者市民グループから」という文言がある。(その分、あちこちに「個々の患者に応じて総合的に判断する」みたいなフワッとした記載が増えているが…
* プレシジョンメディシン [#p9fd490f]
診断の部分ではパネル検査は組織パネルとリキッドパネルとBRACAnalysisがそれぞれ1つのCQになっていて、いずれも弱い推奨。オラパリブのコンパニオン検査としての BRCA検査も弱推奨で、ここはもう少し踏み込むかと思ったが。早期発見や予防につながる可能性はあるがエビデンスが弱いためとなっている。
パネルで生殖細胞系列変異を認めた場合に患者に遺伝相談を推奨するか(CQ D7)も「提案する」だけど、ここは積極的に推奨してよかったのでは。
逆に血縁者の遺伝相談(D8)は本人の確定検査をしたかどうかで意味が変わるので生殖細胞系列変異を「認めた場合」「疑う場合」で分けたほうが良かったような。「疑う場合」は、血縁者に介入するかどうかを決めるためにはそれが確定なのかどうか本人に検査を提案するのが先のように思う。もちろん本人に生殖細胞系列変異を認めたら血縁者に介入でよし。
逆に血縁者の遺伝相談(D8)は本人の確定検査をしたかどうかで意味が変わるので生殖細胞系列変異を「認めた場合」「疑う場合」で分けたほうが良かったような。「疑う場合」は、血縁者に介入するかどうかを決めるためにはそれが確定なのかどうか本人に検査を提案するのが先のように思う。もちろん本人に生殖細胞系列変異を認めたら血縁者に介入でよい。
* 化学療法 [#k28f71a1]
普段の実務で一番影響が大きいのは、大腸癌や肺癌と同じように高齢患者でフローを分けて、以前は同じ推奨で横並びだったFOLFIRINOXとGEM+nabPTXに差が付けられた点。治験で76歳以上は除外基準、70歳以上はgr3疲労が55%などから、PSや併存疾患を考慮とコメント付きで76歳以上の推奨からFOLFIRINOXが削除となっている。
#ref(https://oncologynote.com/img/bffd0da99f_2.jpg,nolink)
2019年にはかろうじてメタ解析の結果から推奨レジメンとは言えないと書かれたエルロチニブの記載は2022年には項目ごと消えました。(ただし最近話題のKRAS野生型膵癌の研修が広まればまたEGFR標的治療も変わってくるのかもしれんが)
* 緩和ケア・支持療法 [#i5a111ac]
緩和の章もコラム→CQに格上げ項目が多い。CST研修は"提案"、腹水のCARTは推奨度なし、悪液質介入はまちまち、VTE抗凝固は"提案"だが予防的投与は未承認。
進行膵癌患者へのACPを行うかどうかは"弱く推奨"ではなく"強く推奨"むしろ"必須"って言い切っちゃっていいんじゃないの?ACPの有無でQOLなどの有意差があるRCTが少ないのは、そりゃACPの有無をRCTすること自体がバイアスを生んだり臨床試験すること自体が倫理的問題を内包しているからであって…
* 検査 [#q7cb7798]
総じて"提案(推奨度弱)"が多い。ガチンコ前向き第3相RCTで差が付いたくらいのエビデンスがないと、なかなか"推奨(推奨度強)"にならない。2019版でも話題になったが、2022版でも診断のための「EUS-FNAを行うか」ですら提案(推奨度弱)にとどまる。ちなみに腹部エコーも造影MRIも提案(推奨度弱)。
じゃあ造影CTは推奨されるのかと思ったら、これは当たり前すぎるのかそもそも記載がない。なおFDG-PETは逆に「行わないことを提案」となっている。これは感度は造影CTと大差なく特異度が低いため(特に慢性膵炎との鑑別能や高血糖の影響など)。
* その他の注目点 [#x437f0f0]
#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1550415628359847936,noconv)
膵癌発見から治療の流れと当事者が向かい合う状況、状況の分岐点で求められるセカンドオピニオン。こういう図が普通に診療ガイドラインに載ってくるのは、良い時代になったなと思う。
#ref(https://oncologynote.com/img/bffd0da99f.jpg,nolink)
膵癌患者の心理的・社会的・経済的問題に対する支援。ASCOの膵癌GLもそうだけど、ただのガイドラインなのに何だかどこか「優しさ」があるのよな。膵癌という超絶困難な病気に立ち向かうという苦難がそうさせるのか。。
#ref(https://oncologynote.com/img/bffd0da99f_3.jpg,nolink)
ASCO転移性膵癌ガイドライン2018年版の、この熱い一段落を見ると、何かが心にグッと来て、ちょっと涙が出そうになるんよ。
#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1002332346652061697,noconv)
診療ガイドライン読んでてウルッとくることなんか、そうそう無いぞ😢
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#navi(日記/2022年)