レ点腫瘍学ノート

日記/2022年/7月4日/BRCA変異とMSI-Hを同時に持つ場合 の履歴ソース(No.1)

#author("2022-07-04T07:54:00+09:00","default:tgoto","tgoto")
&tag(BRCA,MSI,がんゲノム);

先週、JCOPOに興味深い報告が載っていた。複数のドライバー変異が同時に検出されていずれを治療標的にすべきか迷う局面がしばしばあるけれど、BRCA変異とMSI-Hが同時に検出された場合はBRCA変異は治療標的としてはあまり有望ではないと言う話。

#ogp(https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/PO.21.00531)

#tweet(https://twitter.com/m0370/status/1542626179621892096)

MSI-HとBRCA変異の両方を持つ場合は大抵BRCAはLOHを伴わない片アレルのバイスタンダー変異であり、PARP阻害剤は無効であるという話。膵癌や卵巣癌ではまれだが前立腺癌ではBRCA1の12%、BRCA2の3.4%はMSI-Hと併存する。病態的には相互排他で、MSI-Hのみが治療標的となる。

この報告では実際にPARP阻害剤の耐性まで見たのは前立腺癌の2症例っぽいので、検証の確実度でいえば前立腺がんの症例報告レベルにあたる。ただし、前立腺癌以外でも感覚的にもこの通りになりそうな気はするけれど。

#navi(日記/2022年)