レ点腫瘍学ノート

神経内分泌腫瘍 の履歴差分(No.1)


#author("2018-10-15T23:48:40+09:00","default:tgoto","tgoto")
G1/G2の膵臓NETに対してはエベロリムス・スニチニブが抗腫瘍効果を示す。一方でNECに対してはプラチナベースの化学療法が重要である。G3 NETは意見がわかれるところだが近年はG3であってもNETはNECとは分けてG1/G2と同じ治療を選択する事が多い。



オクトレオチドはガストリノーマやカルチノイド症候群では有効性が高いがインスリノーマには有効性が低い。この場合にはオクトレオチドによってグルカゴン分泌が抑制されるため低血糖発作が増悪する可能性があるので注意が必要である。

**CLARINET試験:膵臓NET(G1/G2)に対するランレオチド単独療法(第3相)
ランレオチド群101例とプラセボ群102例の比較を行った。
ランレオチド群は膵臓NET 42%、中腸NET 33%、後腸NET 11%。G1が68%、G2が32%。
プラセボ群に比べてランレオチド群は24ヶ月生存率は33.0%→65.1%に改善した。
PFSはプラセボ群18.0ヶ月に対して実薬群は中央値未到達。
NEJM 2014:224-233

**消化管・膵NECに対するCDDP+CPT-11療法後のオクトレオチド維持療法(第2相・単アーム)
先行して40人の患者に対して合計155サイクルのIP(CDDP+CPT-11)療法を実施した。
原発部位は胃15例、食道8例、膵臓6例、大腸4例、小腸2例、原発不明5例であった。
組織学的には小細胞NEC 20例、大細胞NEC 8例、MANEC 7例、high proliferation NET 5例。Ki-67値は21例が75%以上、9例が50〜74%。
IP療法のサイクル数の中央値は4サイクルで、25%の患者は1サイクルしか実施できなかった一方で42.5%の患者は6サイクルのIP療法が実施できた。その後に16症例がオクトレオチドLARの投与を受けた(12例はプロトコル通りIP療法を受けた症例。4例はIP療法が毒性中止となった症例)。
全体ではIP療法に対して45%がPR、25%がSD、10%がPD、20%が評価不能であった。
オクトレオチドLARの投与に進んだ16症例はIP療法がPRであった症例が11例。
オクトレオチドLARのの投与継続期間は1サイクルの症例2例を含めて11症例が4サイクル以内だが、25サイクルも継続できた症例1例を含め、8サイクル以上継続できた症例が3例あった。
全体でPFS中央値は5.7ヶ月、OS中央値は12.9ヶ月であった。
Oncotarget 2017:25669-25678

**膵臓NECに対するエベロリムス・オクトレオチド併用療法の症例報告
J Pancreas 2017:436-439