レ点腫瘍学ノート

胃癌/2017/update2017 の履歴の現在との差分(No.1)


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#author("2022-12-01T00:43:12+09:00;2018-12-24T16:24:33+09:00","default:tgoto","tgoto")
#contents

*ONO-4538-12試験
ニボルマブ
*ATTRACTION-2試験(ONO-4538-12試験) [#t08bcf79]
胃癌/ATTRACTION-2関連

**対象患者 [#f90d4a4a]
-20歳以上
-切除不能な進行再発の胃癌または食道胃接合部癌
-病理学的に腺癌と確認されている
-前治療として2レジメンに対して不応不能
-ECOG PS 0-1

**比較条件 [#decdfe48]
-2:1でニボルマブ群とプラセボ群に割付
-層別化因子
--国(日本/韓国/台湾)
--ECOG PS 0/1
--転移臓器個数 2個未満/2個以上

**評価項目 [#t624a7e3]
***主要評価項目 [#c7b99352]
-OS
***副次的評価項目 [#n77d306c]
-有効性
--PFS
--BOR
--ORR
--TTR
--DOR
--DCR
-安全性
***探索的評価項目 [#za7591fb]
-バイオマーカー

**結果 [#n14d856c]
||ニボルマブ群|プラセボ群||
|症例数|330|163||
|イベント数(初回発表時点)|225|141||
|生存期間中央値|5.32(4.63-6.41)|4.14(3.42-4.86)|HR 0.63 p<0.0001|
|無増悪生存期間|1.61(1.54-2.30)|1.45(1.45-1.54)|HR=0.60 p<0.0001|
|12ヶ月生存率|26.6%(21.1-32.4)|10.9%(6.2-17.0)||
|12ヶ月無増悪生存率|7.6%(4.2-12.2)|1.5%(0.3-4.8)||
|2年生存率(追加報告時)|10.6%|3.2%||
|全奏効率|11.2%|0%|p<0.0001|
|Best of Response|CR 0, PR 11.2%, SD 29.1%, PD 46.3%|CR 0, PR 0, SD 25.2%, PD 60.3%||
|Disease Control Rate|40.3%|25.2%|p=0.0036|
|Median TTR|1.61|||
|Median Duration of Response|9.53|||

-PR、CRになった症例に限ればMedian survivalは26.61ヶ月と非常に長く、12ヶ月生存率87.1%、24ヶ月生存率が61.3%と非常に良好な成績を示した。またSDでも12ヶ月生存率が36.1%(プラセボ群が24.2%)であった。
-一方でPDであっても12ヶ月生存率が12.4%、24ヶ月生存率が4.4%あり、病勢増悪しているのに長期生存できるという非常に不思議な経過をたどる一群の患者が存在していた。


**その他 [#h33e69d0]
-前治療が2ライン20.9%、3ライン41.5%に対して4ライン以上が37.6%(それぞれニボルマブ群)と、heavily treatedの患者の割合が非常に高い試験であった。
-RECIST 1.1評価によるPDであってもinvestigatorにより臨床的有益性があり忍容性も認められる場合は試験治療の継続が許容された。
-試験進行中の2015年に日本では胃癌治療ガイドラインが改訂されオキサリプラチンが使用可能となったほか、ラムシルマブも承認されたために二次治療までの治療modalityが増加し、これによって3次治療以降に限定されたATTRACTION-2試験へのエントリー症例数が減少した。なお、前治療としてラムシルマブを使用した患者は10.6%(ニボルマブ群)、13.5%(プラセボ群)であった。
-層別化因子では日本・韓国・台湾でいずれも95%信頼区間が1.0をまたがず有効であった。これまで本剤とトラスツズマブを除き、日本の成績では有意差がつかないことが多かった(主にはあと治療を濃厚に行うためと考えられている)。
-ニボルマブの前治療にラムシルマブなど血管新生阻害剤の治療効果がある場合は、ニボルマブの治療効果が高まる可能性が示唆されている。Kato K et al. Gastric Cancer 2018.
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