レ点腫瘍学ノート

腫瘍生物学 の履歴ソース(No.3)

#author("2021-06-18T11:12:50+09:00;2017-09-19T16:01:35+09:00","default:tgoto","tgoto")
*悪性腫瘍の各種生物モデル [#i27bac65]
**Skipperモデル [#of1be00d]
腫瘍細胞はすべての細胞が一定速度で分裂し腫瘍の容積は指数関数的に増加する。抗腫瘍薬が腫瘍細胞を死滅させる場合は腫瘍細胞は決まった比率で死ぬ。このため死細胞の増減はlogモデルで説明される。
**Gomperzian growthモデル [#w82efbe8]
実際の腫瘍細胞増殖はSkipperモデルよりも、腫瘍増大するにつれて増殖速度が低下しS字型の増殖曲線を描く。またNortonとSimonはこれをもとに、増殖速度が早い腫瘍ほど抗腫瘍薬の感受性が高いので、腫瘍増殖速度がプラトーに達する前のできるだけ腫瘍が小さい段階で治療を行う方が死滅させやすいとの考えを示した。これはdose-intensityやdose-densityを高めることの有用性の理論的根拠となる。
**Goldie-Coldmanモデル [#p44099e6]
腫瘍細胞は時間とともに新たな遺伝子変異を繰り返し、次第に薬剤耐性を獲得する。このため、できるだけ腫瘍細胞が少なく耐性細胞が出現する前の時点で、できるだけ高用量で作用機序の異なる複数の抗腫瘍薬を用いることが有用であることになる。これは術後化学療法を早期に行うことや多剤併用療法の理論的根拠となる。