レ点腫瘍学ノート

非小細胞肺癌/CQ/セツキシマブの立ち位置 の履歴ソース(No.1)

#author("2019-12-29T04:02:49+09:00;1970-01-01T18:00:00+09:00","default:tgoto","tgoto")
肺扁平上皮癌に対するセツキシマブの位置付けは微妙なポジションです。小分子化合物のEGFR-TKIは、ゲフィチニブ(イレッサ)に始まりエルロチニブ(タルセバ)、アファチニブ(ジオトリフ)、オシメルチニブ(タグリッソ)などがEGFR変異陽性非小細胞肺癌で欠かすことのできないキードラッグの立場を確立していますが、同じEGFRをターゲットにしていても抗EGFRモノクローナル抗体の立ち位置は微妙です。

抗EGFR抗体といえばセツキシマブ(アービタックス)、パニツムマブ(ベクディビックス)、ネシツムマブ(ポートラーザ)。セツキシマブは頭頸部癌や大腸癌で、パニツムマブは大腸癌ですでに承認されて頻用されています。

頭頸部癌と似たゲノムプロファイルを示すこともある肺扁平上皮癌はセツキシマブの良い対象になりそうですが、その開発はあまりうまく行っていないようです。

**FLEX試験

肺扁平上皮癌の一次治療において、CDDP/VNRにセツキシマブの上乗せの有無で比較した第3相RCT。セツキシマブ上乗せ群でOSが10.1→11.3ヶ月にわずかに伸び、HR 0.87でしたがPFSは統計学的有意差なしの微妙な結果です。

しかもgrade4の全有害事象が62%、grade4の好中球減少が4割とかなりの毒性です(ただしセツキシマブを上乗せしないCDDP/VNR単独でも全有害事象が52%と高い)。

結局、OSの延長はわずかなのに対して毒性があまりに強いために推奨される事はないとの判断になりました。NCCNガイドラインでも現在は非推奨であることが明記されています。

** SWOGS0819

SWOGS0819も全体ではOS有用性無しで、層別化解析でEGFR-FISH陽性群に限ればOS HR0.58と優秀な成績なのですが、結局は肺扁平上皮癌でEGFR-FISHが承認された検査にもならず、もちろんセツキシマブも承認されていません。

*セツキシマブ+EGFR-TKI

NCCNガイドラインではアファチニブ+セツキシマブもチラッと出てました。EGFR-TKIが全部ダメになったあとのダメ元での選択肢みたいですね…