レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2021年 / 2月10日

JSMO2021の抄録が公開されました

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JSMO2021の抄録アプリがようやく公開されたので早速入手して、演題のチェックを行いました。アプリは前回・前々回と同じMICEnaviです。

第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)
2021年2月18日(木)〜20日(土)に国立京都国際会館/グランドプリンスホテル京都で開催される第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)のWebサイトです。
https://www.congre.co.jp/jsmo2021/

WEB学会もこなれてきた

今回はWEB開催ですが、この抄録アプリMICEnaviから視聴できるようです。

抄録アプリに画面らしき枠と再生ボタンがついてるってことは、これ抄録アプリ内で直接ライブ再生できるのか。画期的だな。

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 10, 2021

今回は新型コロナウィルス感染症流行の影響もあり、もともと予定されていた国立京都国際会館ではなくすべてインターネット上で開催されることになったため、参加者数が減るのではないかと懸念されていました。実際に演題募集期間が大幅に延長されていたので、集まっている演題数も例年に比べて少ないのではないかと言うような噂も流れていました。しかし実際に抄録アプリを開けてみると、今年もかなり充実した演題数が揃っているように見えます。

昨年夏の日本内科学会のサーバーの落ちっぷりなどWEB学会運営のノウハウがまだ乏しい頃はひどい事態も沢山ありましたが、だんだんWEB開催に慣れてきてかなり運営もレベルが上がってきていますね。

がんゲノム医療についての演題は花盛り

特に目を引くのは2019年の学術集会でも見られていたがんゲノム医療関連の演題です。今回は特に増えているように感じます。

前回はがん遺伝子パネル検査が2019年6月に保険適用された直後の2019年7月開催だったと言うこともあり、がんゲノム医療中核拠点病院に指定されているような大学病院などであってもまだ手探りでパネル検査を試してみている段階でした。したがって開催されるシンポジウムも検査の導入方法や利用方法など経験が浅い施設に向けての内容が中心を占めていました。

しかし今回はがん遺伝子パネル検査が保険適用されて2年近くなり、全国のかなり多くの施設が経験を積んできています。施設の経験値が上がるにつれて、導入当初は見えていなかったような課題が判明してきたり、今後の人材育成向けてのノーハウをどのように継承していくかという問題も出てくるようになりました、今回の学会ではこれら新たに出てきた課題や問題点についての演題がかなり増えている印象を受けます。

希少がんや原発不明癌のセッションも多い

また実際に原発不明癌や希少がん等に対してがん遺伝子パネル検査を実施し、従来の病理検査では得られなかったような情報量を投与するような試みも多数報告されています。原発不明がんセッションがこれだけ多くの演題を集めているのは初めて見るように思います。

新規治療開発のセッションでは臓器横断的に登場するほとんどの新薬が患者リクルートに遺伝子パネル検査を前提としています。まさに新時代の顔治療が開発されていく様子目の当たりにしているようで、今後の発展が非常に楽しみになってきます。

次世代をどのように育成するか

これは今年に限ったことではありませんが、若手育成あるいは専門医研修制度等についての演題も今年も多数見られます。

例えば医学生や研修医のための腫瘍内科セミナーが開催されたり、新専門医制度についてのシンポジウムが開催されたり。JSMOは以前から会員教育や学生教育や研修医教育をどのように充実させるかということについて問題意識を持って活動していたようなのですが、ウィズコロナ時代においては引き続きこのような活動を続けて若手をリクルートするということに学会が真面目に取り組んでいる姿勢が見えて好感が持てます。

ところで新専門医制度のセッションの抄録で新しい専門医名称は腫瘍内科専門医と書いてあるんですが、これは決定事項なんでしょうか?初耳だったので少し驚きましたが…

えっ、これ決定事項!? pic.twitter.com/Ro4N0iL9uR

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 10, 2021

抄録アプリでスケジュールを確認しよう

抄録アプリのMICEnaviは予定表をチェックしてスマートフォンのカレンダーと同期できます。

とりあえず見たい演題をリストアップした。土曜日が朝から晩まで超絶過密スケジュールww #JSMO2021 pic.twitter.com/CMzzEIYr23

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 10, 2021

オンコロのサイトにはJSMO2021会長の西尾和人先生(近畿大学医学部ゲノム生物学教室)のインタビュー記事も掲載されていました。

JSMO2021会長に訊く、学術集会に込めた想いと見どころ | がん情報サイト「オンコロ」
2021年2月18日(木)〜21日(日)に第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(以下:JSMO 2021)が開催される。 『Evolving Treatment Paradigms for Precision Oncology :進化する治療パラダイムによる精密腫瘍学』をテーマに当初京都で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を鑑み、ライブ配信及びオンディマンド配信することが昨年8月に決まった。キーワードの一つである「evolution(進化)」が意味するもの、2020年8月と早い段階でウェブ開催を決めた経緯などを、JSMO 2021会長で、近畿大学医学部ゲノム生物学教室 教授の西尾 和人先生に伺った。 基礎研究の医療者が会長を務めるのは第1回JSMO以来 柳澤:西尾先生とは当時の国立がんセンター時代、近畿大学にご異動されてからも、いろいろご一緒させて頂いてきましたが、改めて自己紹介をお願いします。 西尾先生:1986年に和歌山県立医大を卒業後、同大学附属病院で内科研修を受けました。研修の中で肺がん患者さんを診る機会が多くあり、さらに専門性を高めたいと思い築地の国立がんセンターに移りました。 がんセンターでは臨床ではなく研究所へ配属となり、肺がんを中心とした固形がん、当時ですとシスプラチンなどプラチナ製剤、タキソールなどのタキサン系薬剤、そしてイレッサなど分子標的薬のシグナル伝達の研究をしてきました。ここでの経験が後の自分の専門を決めることになります。EGFR遺伝子変異など患者さんの検体を測定する、バイオマーカーの研究を近畿大学に移ってからも続けています。また西日本がん研究機構(WJOG)などの臨床試験グループと検体を用いた解析を続け、共同研究してきたことが、今日の個別化医療へ繋がっています。 柳澤:今でこそ先生方の研究は大きな成果を生んだわけですが、1980~90年代は細胞障害性抗がん剤の研究が真っ盛りで、ここまでの時代が来るとは予見できませんでした。 西尾先生:当時の国立がんセンター研究所 薬効試験部の西條 長宏先生から「変わったことをしなさい」と言われていたことが、研究から臨床に繋がったと思っています。とはいえ私たち自身もこの展開は予想していませんでした。
https://oncolo.jp/feature/210128t

会場に集まって熱気や賑わいを直接感じられないのは残念ですが、1年半ぶりのJSMO2021が楽しみですね!

JSMO JSMO2021


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更新日:2021-02-10 閲覧数:984 views.