レ点腫瘍学ノート

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Best of ASCO 2023 in Japanに参加しての感想

JSMO ASCO 学会

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Best of ASCO 2023 in Japan
https://www.jsmo.or.jp/assembly/best2023/index.html

最新のがん治療に関する情報を提供するため、世界中のがん専門家が集まるASCO(米国臨床腫瘍学会)が、日本でも毎年恒例の教育セミナーを開催しています。

Best of ASCO in Japanは、ASCOの年次総会で発表された最新の研究成果を日本のがん専門家に紹介するイベントであり、日本のがん専門医の知識のアップデートと活発な意見交換を通じた腫瘍学の発展に大きな貢献をしています。

Highlights of the Conference

Best of ASCO 2023 in Japanでは、がん治療の最新の進歩について多くの発表がありました。例年通り、その中でも印象的だったのは新しい医療技術に関するDevelopmental Therapeuticsのセッションでした。

特に、免疫チェックポイント阻害剤による免疫関連胃腸炎に対する糞便移植の有用性に関する報告はディスカッションも盛り上がり、非常に活気があって、Best of ASCOらしく良かったと思います。

また別のセッションではメラノーマに対するがんワクチンmRNA-4157を ペムブロリズマブと併用するランダム化比較試験の結果も発表されており、未来の治療を感じさせる非常に興味深いものでした。

日本の臨床腫瘍学の将来への不安

一方で、今後の本邦の臨床腫瘍学の発展に若干不安を覚えるものもありました。例えばHER2に対する新規二重特異性抗体薬であるザニダタマブの臨床試験の結果は非常にめざましい成果を残していますが、日本はその臨床試験に参加しておらず、日本で本薬剤が承認されるかどうかは不透明です。

またトラスツズマブ・デルクステカン(T-DXd)が臓器的に横断的に有用性を示したDestiny-PanTumor02試験も多くのHER2陽性固形がんに有効性を示しているのにもかかわらず、臓器横断的にT-DXdが承認されるのにはかなりの時間がかかりそうです。例を挙げてゆけば他にも乳癌のCDK4/6阻害剤のリボシクリブ、尿路上皮癌のFGFR2/3阻害剤のエルダフィチニブなど、FDAではすでに承認されているのに本邦ではまだ使えない薬剤は多々あります。

一時期関係者の多大な努力でドラッグラグが解消されつつある印象を受けたこともありましたが、最近になって再び日本と海外のドラッグラグを意識せざるを得なくなりつつあるように感じます。

今後も努力を続けていくことが必要と実感

Best of ASCO 2023 in Japanでは、がん治療に関する最新の研究成果が発表され、がん治療の進歩が期待される一方で、まだまだ課題が残されています。例えば、がん細胞が進展した場合の治療法についての研究が必要です。また、がん治療には高額な費用がかかることもあるため、財政的な問題もあると言えます。今後も、がん治療の研究に取り組んでいくことが求められています。

Best of ASCO 2023 in Japanに参加し、最新のがん治療に関する情報を得ることができました。がん治療の進歩は、多くの人々にとって希望を与えてくれるものです。今後も、がん治療の研究が進むスピードは速まる一方ですが、遅れることがないように勉強を続けてゆきたいと思います。


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更新日:2023-07-10 閲覧数:490 views.