レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2023年 / 2月28日

悪性腹膜中皮腫など胸膜以外の中皮腫に対するニボルマブの承認申請

悪性中皮種

小野薬品工業から、胸膜以外の悪性中皮種に対して、ニボルマブの国内製造販売承認事項一部変更承認申請が出されました。これが承認されればこれまで標準治療がなかった悪性腹膜中皮腫などの診療が大きく変わりそうです。悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)を対象とした希少疾病用医薬品の指定を受けて優先審査の対象となっているようです。

https://www.ono-pharma.com/ja/news/20230228.html

今回の承認申請は、兵庫医科大学病院が主導した悪性中皮腫を対象にした第2相VIOLA試験の結果に基づいているとのことです。

プロトコルはPubmedで見つけることができましたが、VIOLA試験の結果そのものはまだネットで見つけることができませんでした。

Clinical efficacy and safety of nivolumab in malignant non-pleural mesothelioma: A multicenter, open-label, single-arm, Japanese phase II trial (VIOLA) protocol - PubMed
This is the first prospective investigator-initiated trial to evaluate the effect of nivolumab monotherapy for MNPM.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36566745/

現在は日本では胸膜中皮腫以外の悪性中皮腫に対するニボルマブの全身療法は承認されていません。ニボルマブの承認拡大が実現すれば、悪性中皮腫の治療に新たな選択肢が生まれることになります。患者さんにとっては、望みのある治療法が増えることで希望を持って治療に臨めるようになると思います。

ニボルマブ以外の治療薬が使いにくくならないか?

これまで悪性胸膜中皮腫の治療薬を悪性腹膜中皮腫に対して使用することが慣習的に認められていたのが実情かと思いますが、今後はこれらが認められなくなるのでは無いかということも少し懸念しています(たとえばシスプラチン+ペメトレキセドの使用が今まではなんとなく通っていたのが、審査が厳格化されないか)。

しかし悪性胸膜中皮腫に対する治療薬が、悪性腹膜中皮腫にも同じように有効であるという科学的根拠が十分であるとは言い切れません。慣習的に使用されてきた悪性胸膜中皮腫に対する治療薬の使用は、今後も必要に応じて検討されることになるのではないかと考えています。


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更新日:2023-02-28 閲覧数:285 views.