レ点腫瘍学ノート

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変異アレル頻度

変異アレル頻度

変異アレル頻度の検査方法によるカットオフ値の違い

NCCオンコパネルやFoundationOne CDxのように組織を使うがん遺伝子パネル検査とguardant360のようにリキッドバイオプシーで行うがん遺伝子パネル検査では、germline変異かどうか、あるいは有意な遺伝子変異かどうかを判断するに値する変異アレル頻度のカットオフ値が大きく異なる。

組織を使うパネル検査であっても変異アレル頻度が高くなくとも有意な遺伝子異常である可能性はないとは言えないが、そうは言っても腫瘍細胞含有率が20%〜30%くらいはあるプレパラートを検査に提出しているわけだから変異アレル頻度が5%以下と非常に低い場合はその遺伝子異常を標的にした分子標的治療薬の効果は期待しにくいかもしれない。

リキッドバイオプシーの変異アレル頻度

guardant360のようなリキッドバイオプシーの場合はそもそもの検体中の腫瘍細胞率が著しく低い。末梢血を採取したときにその検体スピッツに入っているDNAの大部分は、腫瘍細胞に由来するDNAではなくその人の末梢血リンパ球DNAだ。したがって、白血病でもない限り検体中の腫瘍細胞率は著しく低い(具体的にどの程度の腫瘍細胞率なのかは、その担癌患者の腫瘍量や治療歴<たとえば薬物療法直後かどうか>によって大きく異なる。さらには、脈管浸潤の有無やEMTを起こしている度合いにも左右されるかもしれない)。

germline変異の場合

一方、somatic変異ではなくgermline変異の場合は、末梢血中のリンパ球もその遺伝子異常を保有しているはずであるから、germline変異であればリキッドバイオプシーであっても変異アレル頻度は高くなりそうである。

カットオフ水準は0.3%?0.1%?

guardant360の場合は、変異アレル頻度の有効なカットオフ水準を0.3%程度と考えているという話がある。また、組織DNA変異とguardant360で検出したcf DNA変異頻度を比較したこの研究では、concordantと判断するカットオフ値はguardant360側は0.1%と極めて低い値に設定しているようだ。リキッドバイオプシーの変異アレル頻度の解釈には、組織DNA検体での変異アレル頻度と比べて一層の慎重な判断が求められそう。

Cell-free DNA next-generation sequencing in pancreatobiliary carcinomas
Patients with pancreatic and biliary carcinomas lack personalized treatment options, in part because biopsies are often inadequate for molecular characterization. Cell-free DNA (cfDNA) sequencing may enable a precision oncology approach in this setting. ...
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4592417/

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更新日:2019-09-25 閲覧数:3972 views.